(巻十二)美しき言葉遣ひや菊日和(若杉朋哉)

イメージ 1

10月5日水曜日

昨日、財布を忘れて家を出て引き返した。一時間近くのゆとりを持って出勤しているので慌てることはないし都合二千歩ほど稼げたので由といたそう。

忘れ物逆にたどれば枯れ尾花(佐々紀代)

出掛けに三つのことを考えたのが忘れ物をした原因であろう。
一昨日の天気予報で暑くなるとのことであったから、上着無しで支度を整えておいたが、予想よりも涼しかったので急遽上着を着ることにして手帳ほかの詰め替えを行った。
駅までの途中で回覧板を三ヶ所にお配りする仕事があり、そのことを考えていた。
毎朝すれ違う雰囲気のある大年増女性と今朝もすれ違えるかなあ?と浮わついた気分で家を出た。
の三点である。

ふり向けば大年増なり雪礫(一茶)

因みにこの大年増であるが、自転車で仕事に向かう途中のようだ。ある朝狭い路地の丁字路でぶつかりそうになりそれ以後広い道ですれ違うときも会釈程度の挨拶を交わすようになった。面長で鼻筋が通っているどちらと言えば古風な顔立ちであり、昔はちょっとした上玉であったろう。この季節は淡いピンクのカーディガンなどをお召しになり、何か楽しいことが待っていると言う面持ちで軽やかに自転車を走らせて行くのである。

セーターの色ほど若くなかりけり(上村敏夫)


今朝、新聞を取りに行ったところで猫に出合った。大きな混血猫であったがお話をしてみると優しい鳴き声で、近くで写真も撮らせてくれた。草を食べていたようだが、手入れの行き届かぬ庭には雀たちもやって来る。

飼猫の野性を誘ふ雀の子(岡村一道)