(巻十三)踏切を一滴ぬらす金魚売(秋元不死男)

1月22日日曜日

勝手に梅小路と名付けている裏通りの一軒の白梅が開いた(写真)。

開いたと君白梅を指しにけり(潤)

朝日歌壇1月16日:

不用意の発言悔やむ会議後は足浸したし冬の潮に(長尾幹也)

爺さんとふいに呼ばれたその日から始まりました爺さんの日々(山崎波浪)

何れも思い当たる節ありありの歌でござる。対策としては:

大マスク禍の元隠したり(安富耕二)

残るのは死んだ振りのみ四月馬鹿(本杉康寿)




1月20日にはNHK俳句2月号が出た。買う気はなく、立ち読みしてみたところ、小島健氏の“笑う俳句には福来たる”に例示されている句が面白い。

台風待ち声いきいきと予報官(片山由美子)

づぶ濡の大名を見る炬燵哉(一茶)

日盛りの都庁はやはり居丈高(大牧広)

“俳句的日常”は女優の藤田弓子さんの第二回のようで、俳号は遊歩(ゆうほ)、東京俳句倶楽部に入っていらっしゃるご様子である。

なにもかもまあるく抱いて里の雪(藤田弓子ー遊歩)

ほかを自選として上げていらっしゃいました。

“アンソロジー 俳句と暮らすー衣服(中原道夫)”では衣服を詠んだ句を紹介していた。

ジーンズの立派な穴へ青嵐(櫂未知子)

添削教室の“今月の佳句”にも書き留めたい句があった。

ヘルメット腹に被せて三尺寝(小島美枝子)

秋空や高圧線に技士九人(富永琢司)

そして入選句には、

水鳥の水より早く暮れにけり(紙田幻草)

さらに表紙に、

ここぢやあろ家あり梅も咲て居る(正岡子規)

これを全て抜き盗り記憶するキャパはないし、やれば万引きにもなりそうだ。

立ち読みに金吐かせけり二月号(潤)