(巻十三)補陀落も奈落もあらむ虫の闇(根岸善雄)

1月31日火曜日

木枯しの道なりに来る安普請(潤)

朝飯処にしている“プロント・電気ビル店”が改装のため一ヶ月ほど休業するようだ。いわゆる“ニッパチ”ということで2月はこういう店でも客足がへるのであろうか。

コーヒー店永遠に在り秋の雨(永田耕衣)

この店が喫煙に寛容なことで、毎朝立ち寄る常連客が多い。場所がペニンシュラホテルの裏手になるので、ホテルの高いブレイクファーストを避けて入ってくる外国人もそこそこ見受けるが、紫煙を見て退散する客も結構いた。
改装は内装の一新もあるだろうが、オリンピックを控えての分煙令への対処でもあろう。我輩を初めとする常連愛煙家にどの程度の配慮が施されるのか気掛かりではある。

ふたりとも煙草の切れて夜長かな(角川春樹)


どうでも良いことだか、農水省が来年度の政府買入バターの輸入量を発表した。国内産だけでは需要が賄えないので輸入するのであるが、矢鱈勝手に輸入させると国内酪農が壊滅してしまうので、様子を見ながらということのようだ。

http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/c_gyunyu/170127.html

この様子を見誤るとスーパーの棚からバターが消えてしまうことになる。「どこでもいいから、バターを見たら買っておいて!」と言う細君からの指令を頂いたことが一昨年辺りにはあった。

金塊のごとくバタあり冷蔵庫(吉屋信子)

バターと云えば、随分と小さな包装になってしまって、昔はピッタリと収まっていたバターも今はバターケースの中でフラフラしている。これはインフレなのかデフレなのか?量的にデフレで、結果的にインフレであるからデ・インフレか!餡パンも大福もバターピーナッツの袋もみんな何でもデ・インフレである。

気がつけば妻も縮んだ寒厨(米澤たもつ)