(巻十四)死ぬのはいや蟻がむらがる蝶を見て(死刑囚某)

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3月6日月曜日

電気ビル裏のプロントが改装開店した。予想されたことではあるが禁煙になり、店の奥に小さなSmoking Boothが設けられた。ご常連の愛煙家がブースに入って一服しては席に戻っていく。喫茶店も居酒屋もラーメン屋も規制と罰金の対象になるというのだから仕方ないか。映っている椅子はテーブル席の反射でブース内に椅子はない。

梅雨寒や外に追はれて煙草吸ふ(加藤昌親)

夜、肉じゃがで一杯やりながらNHKアーカイブスを聴いた。2011年からの放送も3月末で一区切りとのことだ。彦次郎節もあと三回だなあ。小説家は都合百人くらい紹介したそうだ。NHKもよく録音をとっておいた。最後の四回は“文士の時代”と題しての謂わば総集編である。

芒活け机いささか文士めく(鈴木鷹夫)

今晩は広津和郎阿川弘之の対談も流していたが、阿川弘之も大御所には新米のアナウンサーのように問いかけをしていた。谷崎潤一郎の率直な芥川評も流された。彦次郎氏から不遇で世を去った文士たちが紹介されたが、翻って才能を授けられなかったことに感謝しなくてはならないのだろう。

春風や凡夫の墓の御影石(岸本尚毅)