(巻十四)童貞や根岸の里のゆびずもう(仁平勝)

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5月7日日曜日

日傘の老婦人が目につく日射しの中を野球帽を被り移住先との間を二往復し、一万八千歩をマークした。

定刻にバス来てたたむ白日傘(栗城静子)

都内の移住先の方が廃棄しやすいごみがあるので両手に大袋、背にリックでの運搬である。違法投棄にあたる物はいっさいないがローカルルールが違うようで、移住先の方が可燃物の範囲がはるかに広いのである。

国々に案山子もかはる姿かな(河合曾良)

駅前ではゴールデンウィークのアトラクションで大道芸人が皿回しを披露していた。皿一枚がやっとのようでアマチュアとお見受けいたす。ではあるが、修業して人を楽しませようというのであるから無為徒食の己と見比べれば、ご立派である。

薔薇咲くや生涯に割る皿の数(藤田直子)


一万八千歩の心地好い疲れと少々の昂りをスースして快眠しようと今日買った角川俳句を捲りながら水割りを舐めている。

手の平に転ろがす定年水割りグラス(鈴木正季)

俳句よりも“俳句旅枕”という随筆のなかに円谷幸吉の遺書が紹介されていて、「凄い」。