(巻二十二)格別の「事件」なき日々さやかなり(島守光雄)

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(巻二十二)格別の「事件」なき日々さやかなり(島守光雄)

8月2日金曜日

地球

入れてもらっている顔本の英語倶楽部に以下の拙文と鉢植えの写真を投稿いたした。南米、中東、中欧の方々からコメントと“いいね”をいただきました。

It enters a real summer here and notches 35 degrees Celsius every day in this week. Wife and I bought a potted ornamental mandarin for our enjoyments. I give it a name “Mikan-chan” and water it every morning before going to office. Mikan means mandarin and chan is something added affectionately after a name when he/she is a toddler. I was called Jun-chan when I was a toddler more than 60 years ago, anyway.

おじいさん

今日はお休みできまして、お家に居りますが家事に動員されて気が付けば11時でした。

よく乾く洗濯物や切りもなし(潤)

おじいさん

駅前クリニックでの健康診断は3時からですが、早く家を出てQBで散髪致した。この暑さですから客は居らず直ぐに刈って頂いた。

その行き掛けのバス停での道すがら、黒揚羽に出逢った。

「重要なお知らせです」と黒揚羽(浪越靖政)

*黒揚羽さん、我が家の蜜柑の鉢に是非お立ち寄りください。

駅前公園の噴水で水遊びする子どもさんも暑すぎてパラパラでございます。

注射

健診は3時の予約でしたが、2時半に到着。待つことなく直ぐに始めて呉れました。
身長・体重・血圧の測定で始まり、胸部レントゲン、心電図、問診で終わりでした。

レントゲンにボロボロの胸みられ夏(佐藤孝志)

前立腺とか大腸癌のオプションは見送りましたよ。
では、なんで健診に行くのだろう?自分でもよく分からない。

マスクして命少々惜しみけり(大西順子)

どうせなら死病と願う大暑かな(潤)

湯上りに成人女性と二人でベランダから星を見た。

織姫を新婚のごと見上げけり(潤)

本

「文士の生活 - 夏目漱石講談社文芸文庫 漱石人生論集

を読みました。少なくともこの編について言えば、人生論ではないと思います。

冒頭は以下の如し。

私が巨万の富を蓄えたとか、立派な家を建てたとか、土地家屋を売買して金を儲けて居るとか、種々[いろいろ]な噂が世間にあるようだが、皆嘘だ。
巨万の富を蓄えたなら、第一こんな穢[きたな]い家に入って居はしない。土地家屋などはどんな手続きで買うものか、それさえ知らない。此家だって自分の家では無い、借家である、月々家賃を払って居るのである。世間の噂というものは無責任たなものだと思う。
先ず私の収入から考えて貰いたい。私にどうして巨万の富が出来よう筈があるか - と云うと、ではあなたの収入は?と訊かれるかも知れぬが、定収入といっては朝日新聞から貰っている月給である。月給がいくらか、それは私から云って良いものやら悪いものやら、私にわからぬ。聞きたければ社の方に聞いて貰いたい。それからアトの収入は著書だ。著書は十五六種あるが、皆印税になって居る。すると又印税は何割だと云うだろうが私のは外の人よりは少し高いのだそうだ。これを云って了っては書屋[ほんや]が困るかも知れぬ。一番売れたのは『吾輩は猫である』で従来の菊判の本の外に此頃縮刷したのが出来て居る。此の両方合せて三十五版、部数は初版が二千部で二版以下は大抵千部である。尤も此三十五版と云うのは上巻で、中巻や下巻はもっと版数が少い。幾割の印税を取った処が、著書で金を儲けて行くと云う事は知れたものである。
一体書物を書いて売る事は、私は出来るならしたくないと思う。売るとなると、多少欲が出て来て、評判を良くしたいとか、人気を取りたいとか云う考えが知らず知らずに出て来る。品性が、それから書物の品位が、幾らか卑しくなり勝ちである。理想的に云えば、自費で出版して、同好者に只で頒[わか]つと一番良いのだが、私は貧乏だからそれが出来ぬ。
衣食住に対する執着は、私だって無い事は無い。いい着物を着て、美味い物を食べて、立派な家に住み度いと思わぬ事は無いが、只それが出来ぬから、こんな処で甘んじている。