(巻三十五)永き日やあくびうつして分れ行く(夏目漱石)

(巻三十五)永き日やあくびうつして分れ行く(夏目漱石)

 

1月10日火曜日

風の音が聞こえてくる朝だ。細君はコレステロールで通院を予定していたが腹痛で取り止めることにしたそうだ。その腹痛の遠因が私のエアコン消し忘れにあるとグチグチと文句を云われた。エアコンは使わなければ故障するから使えと云われたから、使いたくはなかったが、使ったのだ。消し忘れは落ち度だが、もうエアコンは使いたくない!

食事は自分の食べる簡単な物しか作れないから弁当にして下さいとのことでしばらく弁当やサンドウィッチの食事になりそうだ。テレ友に電話などかけているし、まだ口は全開だから、まあ大丈夫だろう。

新年を二人で迎ふ危うさよ(masako tokuda)

パック赤飯と即席カレーうどんの昼飯を喰って、一息入れてから散歩に出かけた。風が強く、その分だけ寒さを感じる。図書館のポストで2冊返却し、稲荷のコンちゃんへ。コンちゃんはブロック塀を北側に置いて丸まっていた。少し頂こうかしら、ってな感じで起き上がり伸びをしながらおいでになったので一袋差し上げた。そこからサンちゃんの前を通らないようにして都住のクロちゃんを訪ねた。クロちゃんは階段下の段ボールシェルターの中にいたが、呼んだら飛び出してきた。二袋食べていただく。クロちゃんのあと、サンちゃんの定位置に行ったが不在。

そこから生協へまわり夕飯の弁当を買う。3時過ぎ頃の弁当売場はちょうど端境期でほとんど何もなく、昼の売れ残りのカツ重を買う以外に選択の余地なし。明日は白鳥生協へ行ってみよう。カツ重だけでは腹が減りそうなので特売の餡パンを二つ買っておいた。

願い事-涅槃寂滅、酔生夢死、です。

英語の警句や訓を読んでいると「人生は短いからなりふり構わず楽しめ!」と云ったものかよく出てくる。自分の今の感覚を申せば、長い、特に最近はうんざりするほど長いと感じる。

世の中を憂しとやさしと思へども

飛び立ちかねつ鳥にしあらねば(山上憶良)

今日は、

「ネコ - 三木卓」猫のエッセイ珠玉の35選 から

を読んだが、“珠玉の”と云う割には面白くなかった。一作も読まないで返却したのでは税金の本当の無駄遣いになるのでそれを読んでおいた。

にんげんは面白いかと冬の猫(矢島渚男)

猫嫌いの随筆にはなかなかお目にかかれないが、これはそうかと読み返してみた。

 

「盲目的なペット愛を見ると発狂しそうになる - 安西水丸」猫なんて!から
 
ぼくが動物類をどうも得意としていないということは、ここでよく書いているのでおわかりのことと思う。
得意でないということは、あんまり好みでないということです。
猫も猿も、とにかくみんな駄目だけれど、一番駄目なのは犬だ。犬に関して言えば、駄目だの嫌いだのではなく怖いのだから仕方がない。
世の中でいちばん信用できない言葉としてあげられるのが、よく犬を飼っている家の奥さんのおっしゃる、
「ウチの犬はおとなしいから大丈夫よ」
これだ。これを言う奥さんはたいてい眼鏡をかけていて、笑うと九ミリ幅くらいの歯ぐきが見える。
それと同じように、世の中でとても怖い光景は、小学校低学年くらいの男の子が、ものすごくでっかい犬の手綱を引いて歩いている時だ。男の子でも女の子でも同じだが、これは怖い。もしもその犬がぼくに襲いかかってきたら、手綱を引いている子供にその犬をおさえられるだろうか。ああ怖い。こんなことを考えていると発狂しそうになる。
先日、京都からの帰り、新幹線の中で、椅子が四人掛けになっていたので回転させて直そうとしたら動かない。いろいろやったけど動かない。どうしたのかと調べてみたら、椅子の下の方に、何か箱みたいなのがあってそれで動かなかったのだ。
そしたら、少しはなれたところにいた女が二人(たぶん親子だと思う)やってきてその箱をドアの外に出してくれて、やっと椅子は二人掛けに直った。なんと箱の中には猫が入っていたのだ。まいったね、人の指定座席の下に猫の箱を置くんだからね。自分のところに置いてほしい。いろいろと理由があったのだろうが、まあとにかくペット好きの人にはおうおうにしてこういった人格が見られる。とにかくペット可愛さのために、盲目になってしまうのだ。愛は盲目。ペットは盲目。
最近の体験を書く。
先日、青山通りの某うなぎ屋でうな重を食べた。ここは都内では名の知れた店で、特別ごたくをならべなければいちおうおいしいと思って食べられるうなぎ屋である。
店に入って空いたテーブルについた。午後の一時をすぎていたけれど、テーブルにはそれぞれ客がついていた。しばしうなぎの焼きあがるのを待っていたら、中年の女性が一人入ってきた。その女性は、ぼくのテーブルで相席になった。
ここまでくると、もうぼくが何を言おうとしているのかわかるでしょう。
ぼくのうな重がきて、僕は大好きな山椒をかけて食べはじめた。空き腹にまずいものなし。結構おいしい。
そのうち前にいる中年の女性にも、うな重がやってきた。その女性は食べはじめたのだが、そのうち、うなぎの方を箸でぼろぼろと細かくくずしはじめた。何をしているのかと思った。そうしたら彼女はなんと、床に置いてあったバッグを膝の上にのせ、そのチャック(今はジッパーと言うのかな)を開けた。
猫だ。
バッグの中には猫が入っていたのだ。彼女はその猫に、細かくくだいたうなぎを食べさせはじめた。その女性はいつもそうするらしく、お店の人も何も言わない。あわよくば、まあ可愛い、なんて言いかねない顔をしている。
ペット好きな人には、おうおうにしてこういった人格が見られる。この人も笑うと九ミリくらいの歯ぐきが出た。
僕は発狂を必死にこらえた。