(巻八)生まれたる日本橋の雨月かな(長谷川かな女)

今日から巻八に入りました。

自分では詠めない思いを名句秀歌に託し、日々を省み、あまり長くもなさそうな余生の道標にいたしております。


声にして君に届ける歌撰ぶ詠めぬ慕いを誰に頼まん(潤)


巡り会った句や歌を句帖に書き取り「立読抜盗句歌集」と名付け座右の書とし、紐解いております。


書き込めばふくらむ句帖雲は秋(岡地蝶児)


句歌は千二百作品ほど貯まりましたが、呆け防止のため、敢えてエクセルで整理せず、記憶に頼り、心境に合った句歌を思い出し、ときには探し出しております。


ひとりづつ人をわするる花野かな(井上弘美)


細君には、「その頃になると、目も耳もだめになっているのよ!」と言われますが、この一冊四百頁の句歌集は、ホスピスまで持って参るつもりで大切にしております。


初七日の席順までも書き残した余命告知の兄を想いむ(及川泰子)