(巻八)その先はどうだったのと春炬燵(森澤とほる)

昨晩はN先輩と新鎌ヶ谷で一杯やり、楽しい時間を過ごした。

おでん酒酌むや肝胆相照らし(山口誓子)

鎌ヶ谷にはチェーン店の飲み屋がなかったが、花の舞が高架したに開店していた。
二人で二時間弱飲んで一人三千円であがった。

人生の締めくくり時期にある二人の飲み会であるので、これまでの生き方を顧みることが、酒の肴になる。
その中で映画の話になった。
N氏は、そのころ、中学生で見ることができなかった昭和三十年代の若尾文子主演映画を最近、新宿の角川シネマで五本、見たとのことで、
「よかった!」
と、若尾文子の美貌論、若尾文子の芸域論展開された。
さらに、「この歳になって、黒沢の「生きる」が身に染みる」と語られた。

木枯らしにブランコすこし揺れて鳴り気分はつまりゴンドラの唄(相原法則)

前の組織では、無閥無門で人生を送った二人ですが、

芭蕉忌や我に派もなし伝もなし(正岡子規)

やはり誰かに分かって貰いたいと言う思いはある。その誰かが居てくれたことを、私はありがたく思います。

秋の空高き二羽や海も青(潤)