(巻九)釣り銭を貯めて叶えん蟹の旅(鳥花月風)

11月27日金曜日

昨晩の満月もきれいでしたが、今朝の月もよかった。
薄い青空に大きな白い月が浮いて朝の満月の美しさをこの歳ではじめて知りました。

十月の空より薄し朝の月(今瀬剛一)

端居の身には月末の金曜日も影響なく、一日過ごし、帰宅の途につきました。

上野駅の本屋に立ち寄り角川俳句を買いました。
本屋さん大繁盛でキャッチャーまでは十人待ち!週末に読書しようという方がまだまだいるのですねぇ。

上野駅からの車中で、白角をやりながら、平成俳壇を先ず読んだ。特に、今井聖氏の選を楽しみにページを捲った。
今井聖氏は東京西部から湘南の雰囲気で、東海道線、中央線、小田急、東急の感じであり、わたしの棲息する常磐線新京成とは異文化圏かな。
でも、今井聖氏が選ぶ“毒”のある句は唸らさせてくれます。
12月号でも氏は期待を裏切らず、推薦第一句から“毒”いっぱいです。

夏霧や妻は第一発見者(目黒輝美)

物語のある句ですよね。いろいろなストーリーが浮かぶでしょうが、私はこうストーリーを立てています。

犯人は第一発見者という捜査の常道から言えば、犯人は妻なのです。では被害者と言えば妻が犯人なのですから夫です。
「輝美」という作家は性別が不明ですが、ここがこの句の難解なところかな。妻から殺されたいというMの願望の男性か?それとも、夫を殺したいと思っている極めて正常な女性なのか?五七五プラス輝美で、物語を楽しんでいます。


ちなみに、最近書き留めた句に

殺したき女ある夜の落ち椿(田付賢一)

という至極真っ当な句もあります。俳句は文学で闇は深いなあ。