(巻十)囀りの一羽の自在二羽に失す(林亮)

3月4日金曜日

本日の句も私にとっての名句でごさいます。退職後の夫婦を実に巧みに詠んだ句として味わっております。
作者の林氏は県庁勤めをされていた俳人と承っております。退職後の奥様の“ぶあしらい”を嘆いていると勝手に解釈し、同じ境遇にある身として共感いたしております。

雪の日やふるさとの人のぶあしらい(小林一茶)

さて、本日は予定通り会議が持たれまして、発言の機会も十分いただき、帰路つくところ、昂りを鎮めるため神田西口の“コーラク”で煮込みで一杯いたしました。

春の闇自宅へ帰るための酒(瀬戸正洋)

どこか寄れる、チェーン店ではない、飲み屋が一軒あると言うのは結構大切なことですよ。私は“コーラク”に三十年近くお世話になっております。
私の観察に依れば、オカミサンは神田の生まれでしょうね。大将は生まれは東京かもしれませんが、オカミサンの持っている江戸風の感覚ではございません。
二人とも野良猫に餌を与えるなど心優しい人たちではありますが、人間の勘定には細かいところも持ち合わせたご夫婦でごさいます。

甚平やそろばん弾く骨董屋(大串若竹)