(巻十)老鶯(ろうおう)の隣家まで来て去りにけり(下村靖彦)

3月9日水曜日

柏駅前のそごうデパートが9月いっぱいで閉店するということでございます。
そごう六階の“ウィーンの森”珈琲店は私たち熟年夫婦のデートスポットでございますし、一階の中村屋ではよく肉マンを買っております。
日曜日のお昼どきでも閑散としておりましたので心配しておりましたが、ついに命脈尽きたかと言う印象でございます。

私たち夫婦が柏に移り住んでから30年ほどになりますが、そごうデパートには思い出も数多くあります。
なかでも、息子の出産準備、七五三、幼稚園・小学校入学の支度などこのデパートで買いましたので夫婦共に寂しさを感じているところでございます。

炎天の赤子は吾子ぞ退院す(今瀬一博)

9月1日産まれの赤子の哺乳瓶もモビールも乳母車もベビー服も、ネクタイもブレザーもランドセルも、それに小物作り用のミシンも、みんなそごうで買いましたので、細君などちょっと涙ぐんでおりました。

あじさいや涙もろきは母に似て(中西龍)

しかし、息子は成長するに従い、高島屋を好むようになり、成人式の背広は高島屋で買いました。

子の背広買ふ歳晩のまばゆき中(福田甲子雄)

そごうのお客様も販売員も高齢化していましたね。