(巻十一)品川のビルの向かうの夏の潮(戸松九里)

7月9日土曜日

洗濯機の横に仕掛けておいた家形の罠に今朝ゴキブリが一匹かかりました。

くらがりに悪を働く油虫(山口波津女)

我が家のなかを相当数のゴキブリたちが徘徊しているはずですが、引っ越して来て以来20年今朝まで一匹もかかりませんでした。

餅花や鼠の罠の跳ねし音(関谷透雲)

まだ若そうな黒いと言うより赤いゴキブリが長さの方向の窓から入って膠着していました。生前どんな奴だったのでしょうか。
ゴキブリの社会では、「あんな罠にかかるなんぞは、ゴキブリの面汚しだ!」とか言われているにちがいない。可哀想と言えば可哀想です。
こちらとしては命を奪ってしまったわけですが、こちらにも事情があってのことなので勘弁して戴きたい。

次の世は蝿かもしれぬ蝿を打つ(木田千女)