(巻十一)大空の見事に暮る暑哉(あつさかな)(一茶)

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7月15日金曜日

午後、親分にお供して横浜まで出掛けましたが東海道線が川崎を出た辺りで線路冠水とかで徐行運転となりました。これしきの雨で情けないと思いましたが、桜木町に着いたときは

改札の先に道なし大夕立(丸山清子)

でございました。

お仕事が終わり、親分の飲み方から中華街で一杯ということはないでしょうが、

ビニール傘透かして時雨の中華門(奈良文夫)

桜木町駅地下鉄脇の一画で親分と立呑屋に寄るものと思っておりましたら、
“悪い!今日、予定があってここで失礼!”と肩透かしでございました。

細君には、“今晩は飯なしにしておいて。”と気合いが入っておりましたので気持ちを鎮めるために神田で降りて焼鳥コーラクさんのお世話になりました。

焼鳥の煤けしのれん肩で押す(田上さき子)

神田西口商店街では折しも“秋田絵どうろう祭”(写真)が行われており、ちょっと旅行気分で一杯いたしました。

初恋や灯籠によする顔と顔(炭太祇)

コーラクではプロ野球オールスター戦が流されていましたがそのコマーシャルが拡大鏡や腰痛薬等々高齢者を対象とした商品のスポンサーばかりでございました。今やプロ野球オールスター戦は大相撲よりも高齢者向けイベントになってしまったのでしょうか?

老いの知恵老いの品格平積みの老いを売る紀伊国屋書店(高尾文子)

ところで、コーラクのかみさんの蘊蓄によれば神田のこの界隈は鳥越神社そばの佐竹商店街と同様に秋田の殿様にはお世話になった土地柄だそうです。その縁で神田祭の行われない年に“秋田絵どうろう祭”を行ったいるそうです。
佐竹の殿様はもとは常陸ですし、平将門も神田に祀られているわけですから想いもあったのでしょうか。いずれにせよ何百年を経ても恩を感じている人々がいると言うのは死に金を遣わなかったということでしょう。

花のいろはうつりにけりないたづらに我身世にふるながめせしまに(小野小町)