(巻十三)ホウカン(漢字)の道化窶れやみづっぱな(太宰治)

11月11日金曜日

ドックはドット疲れる。特に胃のバリウム撮影はこれで最後に致したい。
この検査では多角的な胃のエックス線撮影をするために被写体を可動式撮影台に横たわらせる。増影剤にバリウムを飲むが、胃に満遍なく行き渡るように横たわった体を右左三回転りさせられる。撮影角度のために逆立ちする撮影台から振り落とされないように手すりを握り、指示された不自然なポーズを取るために体を捻らされたり、兎に角俎の上で七転八倒させられた。

寒海鼠ごろり熟女の床体操(霧野葛地郎)

直ぐに数値の出る検査の結果は前年とほぼ変わらずであった。身長一ミリ減、体重一キロ減、胴回り三センチ減、体脂肪率三ポイント増、(おばさん看護師に「筋肉が落ちたということです、ハイ。」と簡単に言われてしまった。もう少し上手い言い方はないのでしょうか?)、視力・聴力は変化なしとのこと。肺活量なども変わらず。血圧は超音波のあとでやったのでめちゃくちゃでした。順番なんとかならないですかねえ?

体内の数値の乱れ根深汁(森田智子)

医師面談は幸い老医師であり、“まあしょうがないか。”程度のご注意で“死ぬ死ぬすぐ死ぬ、”というようなことは言わなかった。だか、目は“楽しめるうちに楽しんでおきたまえ。”と言っているようであった。

断つほどの酒にはあらず初鰹(鷹羽狩行)

さて、これから一日バリウムの排泄に苦しむのか。牛乳を飲んだ、お茶もたっぷり飲んだ、下剤も飲んだ。