(巻十三)役終えたままのアンテナ夏の雲(千波)

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12月6日火曜日

昨日月曜日は“のりおさんのお店”を訪問した。お店(写真)は蛎殻町の日本橋公会堂の裏手にあり、洒落た舶来雑貨を商っている小店である。

湯婆などむかしむかしを売る小店(杏田郎平)

テレビの散歩番組でも紹介されたそうであるが、どうも売り物は“のりおさん”のようである。500円以上お買い上げのお客様には“のりおさん”がピアノの弾き語りを進呈するとのことで事務机の横にピアノがあり、その上には進呈曲のメニューが置かれている。ビリー・ジョエルがお得意なので、メニューにないビリーの曲をリクエストするのも一興であろう。

朧夜やカサブランカの弾き語り(徳永てい子)

のりおさんは我輩より少々年長であり、神戸のご出身とのことである。若いころギターリストを目指して渡西したそうであるから音楽的なセンスはしっかりしたものであろう。のりおさんは自らの力量を玄人と素人との中間の灰色人(グレート)と称しており、大変ユーモアを解しオープンなお人柄である。

菊日和いふにいはれぬお人柄(角田律子)

しかし、このお店だけで食っているようには思えない。お店は古典的なイギリスのスパイ小説に出てきそうな雰囲気を漂わせている。もしかするとのりおさんは日本で暗躍する国際諜報組織のトップかもしれない。また、場所が日本橋蛎殻町であるから“仕掛人”の元締めということも考えられる。

太公望灯火親しみ仕掛け編む(佐藤功子)