(巻十三)吊革に手首まで入れ秋暑し(神蔵器)

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12月7日水曜日

銀杏落ち葉が降っている。

木の葉ふりやまずいそぐないそぐなよ(加藤しゅうとん)

落葉の絨毯もよろしいがやはり舗道に散った葉の片付けは大変のようだ。中にはビルの通路に吹き込まれる葉もあれば、有楽町駅構内のトイレに迷い込む葉もある。

彩落ち葉厠も染めて流れけり(潤)

成田空港方面に年末ご挨拶に参った。急ぐ旅ではないので格安バス(千円)で行くことにした。
バス停は数寄屋橋公園の宝くじ販売所の側で、“銀恋の碑”(写真)の前である。銀恋とは昭和三十年代の流行歌“銀座の恋の物語”のことである。デュエット曲であり、今でも団塊が無理強いして若い女性に迷惑を掛けている歌謡曲かもしれない。

囀りの一羽の自在二羽失す(林亮)

数寄屋橋といえば、思い出がある。細君と付き合い始めたころ、青少年活動で一緒に活動した杏子さんと師走の夕方の東京駅でばったり出合いお茶となり銀座のゲルマニアで一杯となった。楽しく飲み、語り、唄い、四丁目から有楽町駅へと歩いた。そして数寄屋橋交差点をソニービルから交番に渡っているところで杏子さんから“今度、ゴーストバスーズ”を観に行こうとお誘いがかかった。
“ゴーストバスーズ”は細君になった女性と観に行く約束をしていた。二度観ることはなんでもないが、なにか不実と思いすぐには飛び付かなかった。
渡り終わったときには、終わっていました。
十人中八人は杏子さんの容姿容貌に軍配を挙げるであろう。活動的であり、酒も付き合うし、女友達としては願ってもない女性でしたが。

ものわかりよくて不実や泥鰌鍋(佐藤鬼房)

其のちの噂聞きたし桜餅(高浜年尾)