(巻十三)物いへば唇寒し秋の風(芭蕉)

12月16日金曜日

昨晩の忘年会で中年組と趣味の話となった。趣味は持つべし、である。
お一人は20年来の玉突き愛好家とのことである。映画などではグラスを傾けながらプレーする場面があるが、集中力が落ちるので酒を飲みながらプレーする人はいないとのことである。
曰く、中毒性の高いゲームであり、賭る賭ないに関係なく結構身を持ち崩す人がいるとのことである。

ひた走る馬は賭られ菊の前(小泉八重子)

もうお一人はアメリカの刑事警察探偵もの映画の鑑賞で相当な数を深い味わいで堪能されているご様子である。

取り調べる相手の言葉に嘘があるそう感じつつまずは記録す(松木勝蔵)

刑事(デカ)さんも良い趣味をお持ちのようで感服でございます。我輩は趣味を暇潰し程度と考えているが、それでも楽しんで暇を潰せる域に達するには“暇”と“金”がかかる。

木の葉髪一生を賭けしなにもなし(西島麦南)

趣味を楽しめるまでに熟成させるには時間がかかるから中年のうちに二つ三つと趣味の蓄えもされたらいかがと、我が身を顧みず、お二人以外の方に申し上げた。

とろろ汁人生訓を少し垂れ(高橋健文)