(巻十三)構へいし時台風の素通りす(三瀬教世)

12月25日日曜日

息子がカッターナイフて指先を切り、細君は救急車を呼びかねないほどの大騒ぎである。息子はバンドエイドとコットンで血止めをして勉強会に出掛けて行った。

目に見えぬ傷より香る林檎かな(堀本祐樹)

TBSラジオ土曜日夜の“ウタマル”さんの番組で“ババア、ノックしろよ!”と言うコーナーがあって、母親の主に息子に対しての性の秘密を含むプライバシー侵害、交友関係への介入、過剰保護と遠隔操作、などの被害報告が紹介されていたが、過日、細君が息子のコートにガサをかけて“世界の片隅”の映画の半券を押収したとの加害報告があった。知りたくしかたない人と知らせたくない人の関係ですな。

部屋という宇宙に棲む子秋の夜をUFOに乗って飯食いに来る(長尾幹也)

12月19日の朝日歌壇と俳壇:

電飾を勝手に巻かれし冬木らの哀しき貌が我が内に棲む(瀧上裕幸)

おろおろと生きてきたりし年月をええじゃないかと思うこのごろ(前川久宜)

多言語の雑踏の中歳の市(笹間茂)