(巻十三)除け合うて二人ぬれけり露の道(井上井月)

1月24日火曜日

昨日、月曜日は税関当局の評価部門にご相談に伺った。この部門は輸入貨物の課税標準(課税価格)の決定についての御用を司っている。
輸入貨物には関税と消費税がかかるが、税額は課税価格に税率を掛けて算出する。課税価格は一般的には輸入貨物の取引価格に日本に到着するまでの運賃と運送保険を足した額である。但し取引価格は輸入貨物の取引の買い手が日本にある場合に認めると条件を付けている。

関税定率法

(課税価格の決定の原則)
第四条
輸入貨物の課税標準となる価格(以下「課税価格」という。)は、次項本文の規定の適用がある場合を除き、当該輸入貨物に係る輸入取引(買手が本邦に住所、居所、本店、支店、事務所、事業所その他これに準ずるものを有しない者であるものを除く。以下同じ)がされた場合において、当該輸入取引に関し買手により売手に対し又は売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格(輸出国において輸出の際に軽減又は払戻しを受けるべき関税その他の公課を除くものとする。)に、その含まれていない限度において次に掲げる運賃等の額を価格(以下「取引価格」という。)とする。

ご当局に教えを乞うたのは、(買手が本邦に住所、居所、本店、支店、事務所、事業所その他これに準ずるものを有しない者であるものを除く。以下同じ)の解釈についてである。
平成27年に法律が改正され、日本に居住する個人を業務執行社員として記入しなくても、法人登記が可能になったが、このような個人の存在しない登記法人は“課税価格の決定の原則”の括弧書きの適用を受けて除外されるのか、それとも日本に所在する者としての扱いを受けるのか教えを乞いに参ったものでござる。

白黒をつけたがる癖桜散る(幸村睦子)

そして、今日は厚労省が開いた“輸入食品の安全性確保に関する意見交換会 ”という会に午後から出掛けた。食品の輸入手続きや注意点を説明してくれる説明会と勝手に思い込んでいたが、輸入食品は安全であるということを啓蒙する集会のようであった。

朝顔の勝手許さぬ鉢仕立(高澤良一)

殊に“フーコム ”という団体の女性のプレゼンでは「外国産食材や調製品の安全性は国内産と同等の規制・基準をクリアーしているから安全である。一部週刊誌が騒ぐ危険性や事故の記事は本当のことを伝えていない。」と布教の如く力説していたが、なぜそこまで力が入るのか考えさせられてしまう。

世は不況わたしは不興秋扇(中嶋秀子)

学んだことは食品の表示関係は厚労省ではなく消費者庁が所掌しているということと、おばさんの資料の、

消費者基本法
(消費者の役割)
第7条
消費者は、自ら進んで、その消費活動に関して、必要な知識を習得し、及び必要な情報を収集する等自主的かつ合理的に行動するよう努めなければならない。
消費者は、消費生活に関し、環境の保全及び知的財産権等の適正な保護に配慮するよう努めなければならない。

であった。
消費者基本法の存在も知らなかったし、消費者が役割を負っていることも知らなかった。本日の最大の収穫であった。

如月や日本の菓子の美しき(永井龍男)


後半のパネルディスカッションは“もう勘弁!”で逃げ出した。会社には4時半まで研修を受けて、その後直帰と申請していたので、ブックセンターで時間を潰すことにした。常々読むに耐えうる文章を書きたいと念じており、少しでも上達に資すればと文庫の随筆集を探し二冊買いもとめた。

文章の下手のなげきを鵙によせ(星野立子)

中公文庫ー風俗時評(花森安治)

冬に入る黒き手帳に細かき字(坂本宮尾)

新潮文庫ーひとり暮らし(谷川俊太郎)

万有引力とはひき合う孤独の力である(谷川俊太郎)

である。

早く帰れたので市役所のサービスセンターに寄って住民票と課税証明の交付を受けた。市役所のサービスセンター職員は常に納税者である市民と接触しているので対応も丁寧であり、快い。業者相手の役所との違いを感じる。

市民課に朱肉を借りる五日かな(大畑善昭)

家に帰るには早すぎるので今日は“庄屋”に入って鯵刺しで栄川をいただいた。庄屋とさくら水産では同じようなものでも七百円くらい違うが、やはり違いを感じる。