(巻十五)おばさんを姐さんと呼ぶ懐手(岸本尚毅)

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5月27日土曜日

5時半に朝食を摂り、先ずは布団を布団袋に入れた。無厚布団、羽毛布団、普通布団を三枚づつである。一度予行演習をしておいたので息子と二人で速やかに完了した。
入れ忘れように残しておいた箱も大丈夫のようなので、不燃ゴミなど移転先で処理したいものを詰め込んだ。
押し入れやクロゼットから箱やケースを引きずり出して並べ、運び忘れのないようにし、門扉や入り口ドアなど導線を付けて引っ越し屋さんの来着を待った。
定刻8時に到着。隊長以下五名の二台体制である。二十代の女性班長が指揮を取るようでお名刺をいただき、一通りの荷物検分、保障などの同意書に署名後作業開始。
隊員も二十代の男子たちで、個々に班長の指示を受けることなく、予ての手筈どうりと云う感じで物が運び出されていく。
我輩と息子は邪魔にならなければよいのである。我輩は庭先で一服しながら監督。近所の方が通ると、“お騒がせいたして、すみません。”と挨拶するだけだ。息子の姿が見当たらないので何処かと思ったら、便所に籠って本を読んでいるようである。

お若い方々のきびきびしたお仕事振りを二階の物干し場から観戦いたしたが、無駄なスペースを残さず、ジグソーパズルのように嵌め込んでいく。あとからの段ボールのサイズや電気製品、割れ物などによっては、組み立てたパズルを一度崩して再構築している。スペースの無駄を作らないと云うことが総てに優先するようである。

二時間半の積み込み作業を終わりトラックは移住先に出発し、我輩と息子は鉄路荷物を追っている。
(to be continued)