(巻十七)翻訳の辞書に遊ばす木の実独楽(角谷昌子)

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12月28日木曜日

有休が半日残っていたので午後はズルをすることにした。

これからは消化試合の年の暮(橋本喜夫)

とは言え、何かしたいことも何処か行きたいところもない。したいこと、やりたいことがないというのは著しい老化の現れであろう。やりたいことばかりで“やりたがって”いたのが青春だった!


年寄りの暇潰しは図書館と相場は決まっている。

煤逃によき図書館の遠さかな(大矢恒彦)

日比谷図書館で“俳句界”の1月号を捲り句を収集した。なかなか巻三十六の巻頭に充てる句が決まらない。

杞憂あり明けて朝来て毛布干す(鈴木明)
ものの影秋の長さを地に置ける(大瀬益太郎)
決めかねてまたひと回りだるま市(青木まさを)
充分に娑婆見し蛇の穴に入る(羽鳥つねを)
年寄りを嫌う年寄り敬老日(河内きよし)

と気分が乗っていないときの選び方になった。

3時過ぎに図書館を出て神保町に回った。

すす逃げやなんだ神田の神保町(有馬朗人)

ビルの壁に文庫をビッシリと並べてある本屋で三冊選んだ。

「見れば見るほど ー加賀乙彦」中公文庫(108円)

「日常茶飯事 ー 山本夏彦」中公文庫(162円)

「法廷生態学 ー和久峻三」 中公文庫(216円)

選ぶときには一冊百円と思い込んでいたが、勘定で4百何十何円と細かい金額を言われ、お釣りをもらった。
帰宅してから、最後の頁を見るとそれぞれ値段が鉛筆書きしてあった。神保町の古本屋の目利きは確かである。
筆写したいと思うのは和久峻三氏の文章である。他の二氏の題材はそれらが書かれた時の世評で息の長い随筆ではないようだ。
和久峻三氏の題材は刑法民法解説エッセイと言えるものなので、そこに息の長さの理由があるのだろう。要所要所に配されている用語解説「似て非なる法律用語」は読ませる!

加賀氏と山本氏との54円の差は私には分からない。