(巻四十)花曇かるく一ぜん食べにけり(久保田万太郎)

 

 

4月21日日曜日

 

(巻四十)花曇かるく一ぜん食べにけり(久保田万太郎)

 

晴れ。朝家事は掃除機がけ。夜すすぎの洗濯物を外に干す。生協へ買い物に行く。昼飯は残りの鶏蓮根と納豆。

昼飯喰って、一息入れて、散歩。図書館で3冊借りた。稲荷のコンちゃんが近づいてきてスナックを5粒食べて立ち去る。7ELEVENに寄るが笑顔のネエチャンは不在。珈琲を致さず退店。藤は盛りだが、クロちゃんは不在。

一銭も使わず帰宅して、豚キャベツスープを煮て、鮭を焼く。

くたくたとキャベツスープを煮て二人(松本広子)

願い事-ポックリ御陀仏。知らずに仏。

のどけさの先に果てある命かな(山本けんえい)

 

昨日はブログ「随筆筆写」に32人の方が訪れ、37のアクセスがあった。アクセスのトップ(アクセス6)は

「東京-大阪、深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと - スズキナオ」

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32451963/

2位(アクセス2)は、

「世捨人の文学 -車谷長吉新潮文庫 百年目(新潮文庫編集部編) から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32302839/

刑法「不法領得の意思の肯否 - 中央大学教授 高橋直哉」法学教室2022年10月号

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32518346/

「妻の悪口(漱石日記から悪口だけ抜書) - 夏目漱石岩波文庫漱石日記 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32802085/

「談志最晩年の日々(あとがきにかえて) - 松岡慎太郎」努力とは馬鹿に恵[あた]えた夢である-立川談志 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/33141116/

「『「平穏死」のすすめ-石飛幸三』の解説 - 日野原重明講談社文庫 『「平穏死」のすすめ』から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/33586725/

で、「遁世」ということで、

鴨長明と方丈の庵 - 中野孝次」文春文庫 清貧の思想 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32302991/

を紐づけ致しました。

余録;

The art of being happy lies in the power of extracting happiness from common things. Henry Ward Beecher

If you want to live peacefully then do not take anything to your heart. Adeep
という警句が顔本に載っていたので書き留めた。
幸福というのは強く望まないが静心は命に代えても保ちたい。

I wrote them down. I don't strongly desire happiness, but I want to keep my mind quiet, even if it costs my life.

「ことわざ - 外山滋比古」中公文庫 省略の文学 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32302805/

Everyday Shakespeare

https://www.bbc.co.uk/programmes/m001ptbg

 

映像性談

先生

https://www.xvideos.com/video.ulhoeph52ef/_w_url_https_is.gd_ckwv8e

を鑑賞。国語の先生だとか。導入5分ほどの職場不倫話はそれらしいから本物?観ながら血圧を測ったら138ー90と出たから、そこそこいい作品なんのかな。

(巻四十)水仙や海の機嫌は波に出て(鷹羽狩行)

4月20日土曜日

 

(巻四十)水仙や海の機嫌は波に出て(鷹羽狩行)

 

晴れ。朝家事はなし。生協から戻った細君の下世話。その一、両膝の関節で苦労していた生協での友だち婆さんがチタン手術を終えて復帰。手術は大成功だったようで二足歩行でヒョコヒョコだった由。別の友だちは同じ手術を受けたが、歩行不自由との結果に終わっていたので進歩なのか状態が違ったのか、やはり「運」なのか。その二、生協の精算機に四つ折りの中央線の上が僅に千切れた万札を投入したらはじかれたと怒っている。「お父さんどこかで使って。」と云うので「ありがとう。」ととぼけたら無傷の万札を抜かれた。 

昼飯は昨日買って帰った焼売プラス。一息入れて、散歩。

セーターを手に提げ歩く頃が好き(副島いみ子)

よりもまだ暑し。

絵所を求めて上千葉砂原公園へ歩く。鯉幟、テント・ピクニック、花壇と採取。農産高校前を経て曳舟川。稲荷でコンちゃんを車の下の日陰に見止める。反応なし。7ELEVENでアイス・コーヒーを喫する。笑顔のお姉さんは不在。クロちゃんも不在。生協に寄り、少し千切れた万札でデポジットして成功。飴を買って帰宅。

帰宅して、先ずブロッコリーを茹でる。次いで鶏と蓮根の炒め物を炒める。今日はコンソメ味だそうで、これはいけるが、歯が足りない!

 

 

 

願い事-ポックリ御陀仏。知らずに仏。

 

のとけしや君は蛸壺僕は蛸(早川たから)

 

昨日はブログ「随筆筆写」に31人の方が訪れ、34のアクセスがあった。アクセスのトップ(アクセス6)は

「東京-大阪、深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと - スズキナオ」

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32451963/

2位(アクセス2)は、

「猫派と犬派の違いについて - 養老孟司」作家と猫 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32618448/

「人生の四苦八苦(抜書) - 車谷長吉」人生の四苦八苦 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32818137/

「笑う門には福きたる - 木原武一」快楽の哲学 NHKBooks から

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「科学の原理 - 山本貴光吉川浩満」高校生のための科学評論エッセンス ちくま科学評論選

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/33397711/

で、猫派の作品はたくさんあるが、ここは犬派を紐づけ致しました。

「犬と尊敬 - 田辺聖子集英社 楽老抄 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32319303/

余録:廃水管の高圧清掃があった。建物も人体も管が壊れたり詰まったりするわけだ。口から肛門までは管一本だし、血管に尿管。死病というのはこれの何れかがやられると思っていて、まず間違いあるまい。

「水洗の使えなくなる時 - 古井由吉」文春文庫 巻頭随筆4 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32328332/

Side note: There was a high-pressure cleaning of the waste pipes. Pipes in buildings and human bodies are prone to break or block. One tube runs from the mouth to the anus, and there are the ureters and the blood vessels. I think that the fatal disease will be one that attacks these tubes and the organs connected to them.

 

 

 

この数日間、AVばかり見ている。エロスの方がタナトスよりは健全なのだろうが。

AVは年間凡そ35000本制作されているとの由。無料AVばかり見ているが、クライマックスの二、三分をつまみ食いしている。これでは身体を張っている女優さんたち申し訳無いと飛ばさずに30分ものを見てみた。半分以上がインタビューに費やされていたが、受け答えもしっかりしていて、なかなか面白い話をなさる。少なくともインタビューが使える女優さんアホ・バカではない。

今日は

Umi Oikawa水泳で鍛えた美しい身体

https://www.xvideos.com/video.ulaaacva2da/_g_

を鑑賞したが、このユミさんは29歳だそうで、18歳上の上司と不倫中で、他に二人の遣り友がいるそうです。落ち着いた話ぶりで、それなりに理屈も通ったお話をなさる。一応この種のビデオには初めての出演でお金を貰って寝たことはないと仰っていりいる。受け答えから、これは眉唾物だ。水泳をなさっていたそうだが、胸はむしろハンディキャップになったであろう。10分過ぎから脱ぎ始めた。

(巻四十)また誰か死んだ話に昼寝かな(中村伸郎)

4月19日金曜日

 

(巻四十)また誰か死んだ話に昼寝かな(中村伸郎)

 

晴れ。強風。廃水管の高圧洗浄があるので風呂場と洗濯機周辺の物を息子の居た部屋、現在は物置に移す。

業者さんが午後イチでお見えになることもあり得れるので早昼飯となり、一息も早めになった。

彼奴が業者さんの会社に電話して作業予定を訊き、自分の昼寝のためになるべく早くと注文を付けていたので、1時20分に作業員がお見えになり、ほんの5分もかからずに風呂場、洗濯機、台所の3ヶ所の廃水管を高圧洗浄して行った。

人体は管より成れる日短(川崎展宏)

私は後片づけのあと、2時半に歯医者さんの予約があり、駅前に向かった。

途中、クロちゃんを訪ねたが不在。亀有食品市場でお絵描きようの画題を一撮。予定通り2時半に歯科に到着。予定通り抜歯。麻酔のお蔭で、メリメリともぎ取られる感覚はあったが痛みはなし。一週間後に傷口の確認で予約。2割負担で1270円也。跡はブリッジにするそうだから保険の適用範囲だろう。この歳で一本ウン十万円のインプラントは判断に苦しむところだ。会計を致し、抗生物質と痛み止めの処方箋を頂き、抜歯後の注意書を渡された。「過激な運動」、「入浴はシャワー程度」、「喫煙は控える」、の3点については緑色のマーカーで強調してあるが、「アルコールを飲まないでください。」には強調なし。

で、歯科を出て薬局へ回ったが、3時まで休憩とのこと。他の薬局でもいいのだが、あの猫のフィンガー・ジュエリーの愛嬌のある下町娘風の薬剤師さんに再会致したく、リリオ7階の区のフロアの椅子で4時時間調整することにした。

椅子はあるのだが、あからさまに長いことは座らせないという意図があからさまに出ている意匠の椅子やソファ-である。メゲズに座りWi-Fiに繋ぎ。AVなんぞ見て時間調整。ここではWi-Fiに繋がったが、このバカガラホはアンテナは立つがコネクトが成立しない。 

で、4時近くなって行動開始。先ず三菱東京UFJで半年ぶりに臍繰りに手をつけた。ついで薬局へ回り、お目当ての薬剤師さんからお薬を頂く。覚えてくれていたようで、ネイル・ジュエリーや猫の話を交わす。タッパは低いが利口そうな目元をしている。お薬代390円也。 

で、崎陽軒へ回り弁当二つ、季節の御弁当は細君用、炒飯弁当は私用、それに明日の昼飯用の焼売を買う。2250円也。

で、薬局の向かいにある4時開店の若者の飲み屋「カメスタ」に入る。早速お目当てのポテサラを頼むが、欠品とこと。やむ無くピクルスでつなぎ16分かかるというメンチを頼んだ。ハッピー・アワーで飲物が安く、1200円也。

帰りはバスにした。220円の贅沢なり。両さん像の拳銃だけがやけにリアルだなあと思う。風呂屋ほか画題が少し集まった。

夕食に炒飯弁当を食す。片側の歯の少ない方だけで噛むので時間がかかった。たまにだから、旨し。

願い事-ポックリ御陀仏。知らずに仏。

 

春愁の昨日死にたく今日生きたく(加藤三七子)

 

昨日も今日もあまり生きていたくはなかった。

 

 

昨日はブログ「随筆筆写」に36人の方が訪れ、48のアクセスがあった。アクセスのトップ(アクセス6)は

「晩年の荷風と小林青年 - 川本三郎」05年版ベスト・エッセイ集 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32352760/

2位(アクセス3)は、

「私の見た大阪および大阪人(一部抜き書き) - 谷崎潤一郎岩波文庫 谷崎潤一郎随筆集 から 

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32306573/

「東京-大阪、深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと - スズキナオ」

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32451963/

「アジフライの正しい食べ方 - 浅田次郎」ベスト・エッセイ2023 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/33365567/

5位(アクセス2)は

サザエさんの性生活 - 寺山修司」角川文庫 家出のすすめ から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32296453/

「犠牲と変身-ストリップ・ティーズの哲学 - 澁澤龍彦」中公文庫 少女コレクション序説

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32308488/

「はるばるとバカらしい - 田中小実昌」エッセイ'96大きなお世話 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32779088/

「王子さくら新道 - 植田実」集合住宅物語 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/33585017/

で、私もお世話になっている「集合住宅」に絡めて、

「私鉄沿線に現れた住宅(憧れのライフスタイルの出現) - 原武史新潮文庫「鉄学」概論 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32365040/

を紐づけ致しました。

余録:明け方、目覚めてしまった時など携帯を引き寄せてAVなど鑑賞いたす。もちろん無料AVで、危険があるとの注意喚起はされているが、専らアクセスしている
https://www.xvideos.com/
について言えば、NTT系の「ウイルスバスター」の防御でも警告が出たことはない。
それにしても、何でこんな綺麗な方が出演されるだろう?という疑問と、四足歩行から直立歩行に進化したのに匹敵するような日本人の体形の著しい変化への驚き!が朝方にはまだ発生する海綿体の充血と共に伴う。

「四十二の感動 - 出久根達郎」文春文庫 朝茶と一冊 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32312944/

Sidenote: At dawn, when I wake up, I pull my mobile phone and watch AV. Of course, it is a free AV, and although it is warned that there is a danger, the web, https://www.xvideos.com/, to which I have exclusively accessed, is comparatively safe and NTT's "Virus Buster" defense has never issued a warning.

Even so, why would such a beautiful person appear in such a video? And the surprise at the remarkable change in the body shape of Japanese people, which is comparable to the evolution from quadrupedal walking to upright walking! This incomprehensibleness and amazement are accompanied by hyperemia of the corpus cavernosum that still occurs in the morning.

 

(巻四十)迷惑をかけずに生きて冬日和(中村伸郎)

4月18日木曜日

 

(巻四十)迷惑をかけずに生きて冬日和(中村伸郎)

 

曇り。朝家事はなし。

朝食用品他を買いに生協へ。ツツジが開き始めた。顔本のお散歩写真グループに根津権現の絵が投稿されていたが、それを戴こう。

昼飯喰って、一息入れて、散歩。図書館へ参り5冊借りた。雨が降りだしそうな空模様だったので、すぐ帰宅。

帰宅して借りた本を筆写したくなる作品はなし。各書籍の巻末を捲り借りてみようかという本を物色したが、好みに合わない本の裏はやはり好みに合わない!

夕食の手伝いは豚肉焼き。

寝る前に洗濯。

 

願い事-ポックリ御陀仏。知らずに仏。

 

遠つ世へゆきたし睡し藤の昼(中村苑子)

 

どこかへ行くこともない。ただ単に消えるだけで十分です。

 

 

昨日はブログ「随筆筆写」に22人の方が訪れ、23のアクセスがあった。アクセスのトップ(アクセス2)は

三木のり平-すべての治療を拒否 - 小林のり一[かず](長男・俳優)」文春文庫 見事な死 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32308130/

「吾[あ]が妹[いも]へ - 池部良」江戸っ子の倅[せがれ]から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32384985/

「アジフライの正しい食べ方 - 浅田次郎」ベスト・エッセイ2023 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/33365567/

で、「死に方」に絡めて、

「老人は乾いて死ぬのがいちばん苦しまない - 中村仁一・久坂部羊対談」思い通りの死に方 から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32365056/

を紐づけ致しました。

 

余録:趣味に金を掛けない!と気を引き締めてきたが、ここに来て絵具にお金を掛けてしまった。あくまで鉛筆画。鉛筆、消ゴム、反故の裏だけで時間を潰す覚悟だったが、春になり花綻びて色恋し、である。

Side note: Don't spend any money on hobbies! I've been bracing myself, but I've spent some money on paints recently. It's just a pencil drawing, which allows me to kill time with only pencils, erasers, and the back of scrap paper, but I fall in love with colors when the spring has come and flowers bloomed.

 

「(カビはすごい! - 浜田信夫)の解説 - 倉田真由美」カビはすごい! から

 

「(カビはすごい! - 浜田信夫)の解説 - 倉田真由美」カビはすごい! から

 

カビと聞いてまず思い出すのは、ちょうど20年ほど前に住んでいた、朝も昼も夜のように暗いアパートである。
収入が少なく家に閉じこもっている時間が長かった当時、優先したのは広さと安さで、駅からの距離や日当たりは二の次だった。練馬区にあったその古い木造アパートは、外観だけ派手な明るいピンク色に塗りたくられていたが、部屋の中、とりわけ私が住んでいた1階は大きな窓があるにもかかわらず、目の前を高い塀に阻まれて日が一切といっていいほど差さなかった。しかも塀と窓の間の地面には黒っぽい土に光合成がほとんど必要なさそうな陰鬱な雰囲気の雑草が生えており、まったく窓を開ける気にならなかった。
当然、部屋の中は常にじめじめして暗い。うっかり昼寝などして目が覚めると、時計があっても昼の2時なのか夜中の2時なのか分からない。テレビをつけてやっと、番組内容から「あ、今昼だ」「水着の女性が出ているってことは、深夜だな」などと気が付くことが出来るというほどだった。
でも、和室と洋室の2部屋あってトイレ・風呂別で練馬区内・家賃五万円。見つけた時は「これだ!」と喜んだし、実際それまで日当たりなんてほとんど気にしていなかった。むしろ、日焼けを気にしなくてすむし、20代の女としてはアリなんじゃないかと思っていたほどだ。しばらく暮らすと、太陽の光の大切さを思い知ることになるのだが、
漫画の仕事がほとんどなく、引きこもるように暮らしていたせいもあるだろうが、ともかく暗くじめっとした部屋にいると地味に気が滅入る。1日、2日じゃなく毎日暗くじめじめなのだ。基本的に自分の家にいることが好きな私だが、だんだん日中は散歩したり、近所の図書館で時間を潰したりするようになった。
さらにもっと分かりやすい実害が出始めた。カビだ。入居したばかりの頃は大掃除してあったのだろう。気が付かなかったが、押入れの隅や浴室にじわじわと黒っぽいカビが生えてきた。湿気取りを部屋中に置いてみたが、すぐに水を吸って満タンになるばかりで状況は改善せず気休めにもならなかった。
一番ショックだったのは、狭いキッチンの床下収納にしまっていた、大事な蔵書のコレクションがすべてカビにやられてしまったことだ。本当に、膝から崩れ落ちた。少ないこづかいで何年もかかって買い集めた漫画や本たちが、ことごとくカビていた。
「本って、こんなにカビるんだ・・・」
背表紙だけ見ると分からないが、中のページがすべて黒っぽいカビに侵されている。当然、臭いもきつい。大好きな漫画の愛蔵版全巻、どれを手にとってもプーンとカビ臭・・・鼻の奥がツーンとした。臭いも見た目もちょっとやそっとのお手入れで何とかなりそうなレベルを超えていたので、泣く泣くすべて処分した。私の人生の中で、一番ショックだったカビ事件である。
それまでもその後も、愛蔵本をやられたほどの衝撃ではないにしろ、カビには何度も煮え湯を飲まされている。我が家で一番多いのはジャム、次いでミカン、モチだろうか。私はジャムを頻繁に買うわりに毎日は使わないので(時々すごく食べたくなるが一度食べるとしばらく気が済む)、カビが生える前に一瓶使い切ったことはほぼない。「ジャム食べたいな」と思って前回購入した使いかけのジャムを冷蔵庫から出すと、80%くらいの確率でカビている。食い意地が張っているので保存料を使っていない少しだけ高いジャムを買っているため、毎回歯がゆい思いをしている。

何年もうっすら気になっているカビもある。我が実家の浴室の天井一面に生えている、真っ黒なカビだ。実家は築40年以上の古い戸建で、浴室も不必要に広く天井が高い。はしごでも使わないと手が届かないほどの高さなのだが、そこがいつ頃からなのか、カビで真っ黒なのだ。ちなみに材質の違いのせいか天井以外の壁や床にはカビはほとんど生えていない。数年前、とある番組で「浴室の黒カビは発癌性がありとても危険!」という特集を見た母が、慌てて浴室にエアコンを設置した。浴室にエアコン?
「だって、乾燥させるにはエアコンつけるしかないじゃない」
母は言うが、ずっと稼働させておくわけにはいかないし風呂には毎日入るのだから、焼け石に水でしかない。実際、エアコンが設置されてからカビが少なくなったということは一切ない。
私は実家にいる時も普段は気にしていないのだが、風呂に入っていてふと天井を見上げると真っ黒、ちょっとぎょっとする。高さ的に徹底的な掃除は素人には難しく、なんとかするには風呂場そのものを改装するしかないだろう。それは簡単には出来ない。なので、いつも「見なかったこと」にしてスルーし続けているが、何かのはずみでふと顔を上げて天井が視界に入ったりすると、「このままで大丈夫かなあ」と心配になったりするのだ。
私の個人的なカビ話を少しだけするつもりが、気がつけばこんなにページを割いてしまった。まあ、50年近く生きていれば相当数のカビとのエンカウントがあるのは当然だ。身近な割に正確な正体や毒性など判然としない、いつまでもミステリアスな存在、それがカビである。そしてこの度、本書でその秘密のベールがかなり剥がされたわけだ。
実は浜田先生には以前、対談でお目にかかったことがある。その際、この実家の風呂天井のカビの話をしたのだが、
「直接見ていないのではっきりは言えませんが、そんなに心配しなくても大丈夫だと思いますよ」
と言っていただいたと記憶している。専門家のひと言は、やっぱり重みがある。権威に弱い母に伝えると、ずいぶん安心したようだった。
それにしても、湿気の多い日本では誰にとっても身近なカビだが、ほとんど正体を知らないまま何となく付き合っているんだな、と本書を読んで認識した。そもそも私の場合、カビとキノコと細菌の違いもあやふやだった。これほど情報が氾濫していて、しかめどれもものすごき身近なものなのに、私に限らず、大体の人がそうなんじゃないだろうか。ありふれていながら、直視したくない存在であり、曖昧なままただ忌避し続けている。
でも、本書にも数多く出てくるように人間の役に立つカビも多い。私の大好物、ブルーチーズの青も青カビによるものだ。わざとチーズに空気の穴を開け青カビを生やすことで、美味しいブルーチーズになる。人類の知恵だなあ。日本にも古来からカビを利用した食品はいろいろあり、例えば日本酒の発酵、元々はコイジカビの働きで、あの芳醇な酒になるという。日本酒、好きだけどコイジカビは知らなかったなあ。吟醸大吟醸くらいしか意識してなかった。
毛嫌いしていたカビだが、食品やペニシリンなどの薬にも使われる、役に立つヤツらもいるということが分かった。まあ、変わらず毛嫌いしたくなるような種類も多いわけだが。だだ、本書によって「必要以上に怖がらなくてもいいカビ」のことを知れたのはとてもありがたい。
つい先日夫が、
「残り物のパン食べてたら結構カビが生えていることに途中で気づいた。大丈夫かな?やっぱり病院行ったほうがいい?」
と不安そうに尋ねてきた。本書を既に読破していた私は、
「そのくらいなら大丈夫じゃないかな。とりあえず様子見なよ」
と、冷静に対応することが出来た。浜田先生のおかげである。まあ、カビたパンを食べたのがもし夫じゃなくて子供だったら、もう少し動揺して冷静さを欠いたかもしれないが・・・。
これからも、生活に常にまとわりつき続けていくカビ。詳しく知っておいて損はない。

 

(巻四十)返球の濡れてゐたりし鰯雲(今井聖)

4月17日水曜日

 

(巻四十)返球の濡れてゐたりし鰯雲(今井聖)

 

荒れ模様の予報だが、朝は穏やかに晴れ。昨晩、夜すすぎ。朝家事は掃き掃除。

午前中は机に座れたので、亀中玄関の鉢植えを描いた。

鉛筆画花綻べば色恋し(拙句)

で、色を差した。

昼飯喰って、一息入れて、散歩。

遥かなところに怪しい雲が湧いているが、真上は快晴、無風の散歩日和。あの都住公園の藤棚がいよいよ見頃を迎える。それを描きたくなるが目に見えているので、清田文房具店に行って藤色、薄紫、幅広の薄紫の3本を購う。407円也。

そこから、都住公園の藤棚へ回り画題を撮取した。クロちゃんは不在。7ELEVENへ回ってアイス・コーヒーとも思ったが、今日は野点日和。生協に入りつまみを物色したら寿司が二割引になっていたのでそれにして、缶酎ハイと寿司を抱き抱えてフーコの公園へ向かう。天候は野点日和なのだか、あいにく除草作業とぶつかり、あのエンジン音がけたたましく、残念な思いをしながら急ぎ飲み込んだ。

目に見えし結果が励み草を引く(一寸木詩郷)

桜通りに桜の葉をスケッチしている後期者の爺さんがいた。長身、痩身、ちょっと品のある雰囲気で植物学者ですと詐欺って詐欺れる感じ。俗物から見るとなんとも羨ましい雰囲気を醸していた。

晩年をめぐる七曜花は葉に(阿知波裕子)

野点を切り上げ、ゴミ集積所で分別廃棄のうえ帰宅。鶏を焼き、鰤を焼く。

猫さんたちのスナック代は減ったが無駄使いは増えている。前借りを申し入れた。

願い事-ポックリ御陀仏。知らずに仏。

 

人生は一度でいいよ松の芯(河黄人)

 

昨日はブログ「随筆筆写」に31人の方が訪れ、38のアクセスがあった。アクセスのトップ(アクセス5)は

「私の見た大阪および大阪人(一部抜き書き) - 谷崎潤一郎岩波文庫 谷崎潤一郎随筆集 から 

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2位(アクセス4)は、

サザエさんの性生活 - 寺山修司」角川文庫 家出のすすめ から

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「東京-大阪、深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと - スズキナオ」

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4位(アクセス2)は、

「わたしの個人情報 - 土屋賢二」文春文庫 長生きは老化のもと から

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で、「大阪」で、

「道頓堀罷り通る - 坂口安吾河出文庫 安吾新日本地理 から

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を紐づけ致しました。

 

余録:眼科の検診結果が思わしくなくしょげている細君がしきり“若いって、良いわね。それだけですばらしいわ!”と呟いている。このことに関して私は不同意である。あと、残り僅か、ひょっとしたら明日でおさらばかも知れないという先の短さは長い坂を前にした十代、二十代のころよりよっぽど気楽である。

「死ぬのによい日だ - 丸元康生」文春文庫 09年版ベスト・エッセイ集 から
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Side note: The results of the eye examination at the ophthalmological clinic are not good, and she who feels down keeps saying, “It's good to be young. That's just awesome!” she mumbles. I disagree with this. The shortness of the future, which might end the next day, is much easier than when I was in my teens and twenties, when I was facing a long slope.

 

(巻四十)急ぎ来る五月雨傘の前かしぎ(高浜虚子)

4月16日火曜日

 

(巻四十)急ぎ来る五月雨傘の前かしぎ(高浜虚子)

 

晴れ。風やや強し。朝家事は特になし。明日から天気が崩れるとのことなので朝食用品を買いに生協へ。帰宅して卵など茹でてオープン・サンドの支度を手伝う。

トーストにのせるもろもろ春の暮(服部早苗)

昼飯喰って、一息入れて、散歩。鉛筆画にちょっと色を入れたくなることがある。立石駅の南側のアーケードを描いた鉛筆画に少し色を差した。結果は悲惨。百均で買った12色マーカーは色が強すぎて、浮き上がってしまう。弘法は筆を選ばず、私は趣味に金を掛けず。でも、いいマーカーが欲しくなり亀青小学校前の清田文房具店に相談に行った。店主ご夫婦で相談に乗ってくれで、それなら水性マーカーをということになり、1本110円もするマーカーを12本と筆入れで2000円を超える散財を致した。

清田文房具店から、クロちゃんへ回り藤棚のそばで対面。そこから笑顔満点のおねえちゃん目当てに7ELEVENへ回ったが、おねえちゃんは不在。アイス・コーヒーを喫してからコンちゃんのところへ行ったが、コンちゃんも不在。図書館の前を通って帰宅。

帰宅して、野菜スープの鍋番をして、鶏を焼く。台所のあとは風呂掃除。廃水管の高圧清掃が近づいてきたので廃水口のネットなどを外してきれいにして、壁のカビを洗い流した。大したことをしたわけではないが、腰が辛い。

立石アーケードのほかに場所不明の宿屋通りを描いた。込み入った画題が好きだが、矛盾も多い。

 

願い事-ポックリ御陀仏。知らずに仏。

 

一生の花といふ花やがて塵(長谷川櫂)

 

早いとこ、ゴミ(塵でも灰でもなんで可)にして頂きたい。

 

 

昨日はブログ「随筆筆写」に55人の方が訪れ、69のアクセスがあった。アクセスのトップ(アクセス10)は

「東京-大阪、深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと - スズキナオ」

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2位(アクセス6)は、

サザエさんの性生活 - 寺山修司」角川文庫 家出のすすめ から

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3位(アクセス4)は、

「不法領得の意思の肯否 - 中央大学教授 高橋直哉」法学教室2022年10月号

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32518346/

「平気で夫を見限る女たち(抜書) - 小浜逸郎」死にたくないが、生きたくもない。から 

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/33746607/

5位(アクセス3)は、

「私の見た大阪および大阪人(一部抜き書き) - 谷崎潤一郎岩波文庫 谷崎潤一郎随筆集 から 

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32306573/

「新生『SMキング』(抜書) - 団鬼六講談社 快楽王団鬼六 から
https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32328339/

「意識の不思議 - 渡辺正峰[まさたか]」高校生のための科学評論エッセンス ちくま科学評論選
https://zuihitsuhissha.exblog.jp/33393046/

(アクセス2)は、多数。

で、直接「クオリア」に結びつく在庫はありませんが、それがご専門の学者先生の、

「喜びは不安に由来する - 茂木健一郎筑摩書房 今、ここからすべての場所へ から

https://zuihitsuhissha.exblog.jp/32323455/

を紐づけ致しました。

余録:文芸作品は一度作者の手を放れれば読者のものだとか、作者と読者の共同作業で作品になるとか云う。過日、戸井田道三氏の「身中の虫」という作品を読んだが、読者としては転結が気に入らず、そこを切り捨てた上に題名も勝手に「歯医者」と変えてブログに載せた。淡々とした起承に無理矢理訓を垂らされてはせっかくの心地良さが台無しだ。

Sidenote: It is said that a literary work belongs to the reader once it is released from the author's hands, or that it becomes a work of art through the collaboration of the author and the reader. The other day, I read a work called "Insects in the Body" by Michizo Toida, but as a reader, I didn't like the ending, so I cut it off and changed the title to "Dentist" without permission and posted it on my blog. I don’t want to be forced to swallow a lesson and ruin the euphoria at the turn and conclusion after having enjoyed a casual and comfortable beginning and development.

Paul Auster - New York Trilogy

https://www.bbc.co.uk/programmes/p00fc3vt