(巻二十三)終の身を火に置くことを夢はじめ(橋本栄治)

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11月2日土曜日

成人女性から予て同行依頼のありましたガス器具展へ参りました。
まだ使用中のガス暖房機は十分に機能していますが、既に供用開始から十年を超えましたので更新することにいたしまた。

東京ガスの白鳥[しらとり]にある営業所-キッチンランドでは幟を立てて天幕を張ってガス器具展を盛大に執り行っておりました。ガス器具の売り時は世間が冬の到来を意識し始めたこの季節なのでしょう。

始まりは風かも知れぬ山粧ふ(佐藤斗志子)

成人女性は買い物に時間がかかりあたしをかなり苛々させるのですが、今日は10分ほどで決着いたしました。
ガス暖房機の場合は使用場所の広さの違いだけが機能・機種の違いの要因であることと、メーカーがノーリツリンナイの二社しかないので選択肢がほとんどないのです。
我が家の場合は使用場所のリビング・ダイニングとキッチンが一空間で十五畳相当です。これで決まりなんです。あとはメーカーの二者択一です。ノーリツの方がリンナイより高いのですが、ノーリツにしたようです。
ガス暖房はガス代が高いので主力暖房手段にはしてません。しかし、即効性ではガス暖房機がエアコンを凌駕していますので、朝一番など初めはガス暖房機の発動となるのです。

とじ傘

午前中に結構歩きましたので午後は図書館と運動会をやっていた中学校までの散歩にしました。

図書館では久しぶりに角川短歌を捲ってみました。
書き留めた二首は、

住む家に人の香のあるやすらけさ
夜更け帰りてひとり飲むとき(馬場あき子)

いつかまたいつかそのうち人生に
いつか多くていつかは終わる(俵万智)

運動会は地域の子供育成委員会の主催の地域活動でした。いくつかの子供会の連合運動会のようで玉転がしなど父兄参加型のお遊び競技が主のようでした。

「おじいさん」として借りらるる運動会(小松誠一)

帰り際にご当地選出の先生とスレ違いました。お一人で到着し本部の方へ歩いていかれました。帽子をとって会釈しましたが、腰が低いですね!

菊日和いふにいはれぬお人柄(角田律子)

本

「むらさき屋 - 大佛次郎」徳間文庫 猫のいる日々 から

を読みました。
歌舞伎の世界の脇の役者のお話でした。梨園の役者ではない、云わば“高卒初級”のような下積み役者さんのお話でした。

利根川金十郎などは、もとは小芝居の座頭ぐらいした人だろうが、今日は歌舞伎座国立劇場でワキへ回って風格ある達者な芸を見せている。九代目団十郎を舞台に出て見たというのだから、もはや八十歳かと思う。十一代市川団十郎の弟子になって枡蔵と称していたが、短気の団十郎が何か理由のないこごとをいったのを腹に据えかね、弟子の彼の方から破門して飛び出した。ひとり立ちになってから名乗った芸名が利根川金十郎である。利根川は、もとの師匠の団十郎の市川よりも大きい。団十郎に対して金十郎であった。大きな名前が、根元大歌舞伎の市川団十郎など眼中に置いてない。こうした謀叛組は、前の師匠に遠慮して使わないのが歌舞伎の世界だが、芸を惜しんで松緑君あたりがかわいがってくれ、今ではいっそう元気で舞台の役々をつとめている。
「変わったひとですよ。舞台の外で身につけるものは、帯でもネクタイでもハンカチでも紫色です。よほど紫が好きなので.....。口の悪い仲間は、正式の屋号で呼ばずに、むらさき屋と呼んで通っています。おどろいたのは、家で飼っている猫まで紫色に染めてたというのですから」。一代をワキで暮らした老人の気骨がその紫色の猫に現われている。》

利根川金十郎に至る前に尾上松助や市川照蔵という脇の役者の話も出てくる。尾上松助については子母澤寛の食べ物随筆にも登場していました。

秋霜や躍りを復習[さら]う旅役者(斎藤節)