(巻三十二)図らずも謀られている万愚節(瀬戸美代子)

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(巻三十二)図らずも謀られている万愚節(瀬戸美代子)

4月3日日曜日

図らずも、昨日書いた日記を消してしまったらしく、今朝打ち直した。これからは色々なことが図らずも起こりそうだ。

童めく夫と草引き捗[はかど]らず(中山倫子)

天気予報が少し前にずれたようで細君は雨の中を生協に出かけていった。戻ってきて新聞に目を通した細君が藪から棒に「火星に一緒に行こうよ?」と言う。新聞に火星移住とか言う特集記事が出ていたらしい。一緒の墓に入ろうよ、よりはいいか?尤も入る墓は集団骨置き場にしているから二人でというわけではない。

奥津城の願ひのごとく花下に在り(下村梅子)

https://nprtheeconomistworld.hatenablog.com/entry/39516472

続いて「今日からは新しい選者さんが入ったわよ。」と俳壇を持ってきてくれた。

小林貴子氏の初の選は、

道中のものは描かれず涅槃絵図(芹沢由美)

で、

選評は「釈迦が入滅し、駆けつけた者は嘆いているが、まだ来ていない者を思った視点が独特。」

そうか、そう読むのかと納得。

句は時事句が多くて詰まらない。時事句がやたら投句されてくるのか?それとも新聞社の方から何か云われているのだろうか?それとも選者諸氏が忖度しているのだろうか?

図書館には4冊届いているが午後も雨で家に籠る。

籠って、

「通俗作家 荷風 - 坂口安吾

を読む。

《彼は「★墨東綺譚」に於て現代人を罵倒して自己の優越を争うことを悪徳と見、人よりも先んじて名を売り、富をつくろうとする努力を罵り、人を押しのけて我を通そうとする行いを憎み呪っているのである。

荷風は生れながらにして生家の多少の名誉と小金を持っていた人であった。そしてその彼の境遇が他によって脅かされることを憎む心情が彼のモラルの最後のものを決定しており、人間とは如何なるものか、人間は何を求め何を愛すか、そういう誠実な思考に身をささげたことはない。それどころか、自分の境遇の外にも色々な境遇があり、その境遇からの思考があって、それが彼自らの境遇とその思考に対立しているという単純な事実に就いてすらも考えていないのだ。

荷風に於ては人間の歴史的な考察すらもない。即ち彼にとっては「生れ」が全てであって、生れに附随した地位や富を絶対とみ、歴代の流れから現在のみを切り離して万事自分一個の都合本位に正義を組み立てている人である。

「★墨東綺譚」を一貫するこの驚くべき幼稚な思考が、ただその頑固一徹江戸前の通人式なポーズによって誤り買われ、恰も高度の文学の如く通用するに至っては、日本読書家の眼識の低さ、嗟嘆あるのみである。》

文学とか小説という観点から見るてとそうなのだろうが、随筆・写生の文章家と見ればよいのでしょ?綺譚だって写生だ。

https://nprtheeconomistworld.hatenablog.com/entry/2020/07/04/083156

https://nprtheeconomistworld.hatenablog.com/entry/2020/01/07/082424

願い事-生死直結で知らないうちに叶えてください。コワクナイ、コワクナイ。

一年をこの一日に散る桜(今井千鶴子)

かな。