(巻九)恋は得ぬされどすべてを失ひぬ(竹久夢二)

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12月22日火曜日

年末の挨拶まわりでオフィスは閑散としている。
それではと、昼休みを勝手に延長して茗荷谷まで足を伸ばしてみた。

煤逃げやなんだ神田の神保町(有馬朗人)

三十歳前後の六年間、つまり35年以上前に、茗荷谷駅を利用したが、半地下の雰囲気のよい駅である。筑波大学お茶の水女子大、拓殖大学、筑波の付属ほか、学校が多く、今も昔も学生街の駅であることには変わりない。かつては駅の周りに裏ぶれた食堂や飲み屋があったが、今は雑居ビルに入るチェーン店ばかりになってしまった。

地下鉄に息つぎありぬ冬銀河(小嶋洋子)

春日通りを渡り筑波大学沿いの窪町公園の中を通って植物園の方へと歩くと、自然を残している庭園への入口が(写真)あった。賑やかな鳥たちの囀りが聞こえたが今日は時間がない。
さらに進んで、千川通りを渡ると、小石川の印刷所街になる。木造二階建ての印刷場兼住居街は建て替えられてきれいな低層ビル街になっているが、「〇〇印刷所」などと表示されている社名に名残がある。
その先の植物園の屏は相変わらず面白味のないコンクリート板の羽目合わせである。
山を登って白山に抜けたかったが、茗荷谷駅に引き返した。