(巻九)春めいて野菜売り場にふえてゆくつぼみのものとつぼみもつもの(阿部芳夫)

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12月21日月曜日

年の瀬である、町内会の防犯部が夜回りを始めた。

夜回りを労ふ狐のかくし酒(佐怒賀正美)

昨晩も8時ころ、私より先輩の方々が七、八人反射盤付きのベストとわかりやすい帽子という出で立ちで町内に火の用心を呼び掛けていましたが、どうにも締まらない御一行なのであります。

このご老人たちのご奉仕には感謝いたしますが、各人がダラダラと勝手に歩いているものだから先頭から尻尾までがバラバラの間隔で数十メートルも開き、列はグタグタとみっともない。

夜の蟻迷へるものは弧を描く(中村草田男)

更に拍子木の入れ方が酷すぎるのです。各ご老人が勝手にカチカチ、コチコチと打つものですから、離れて聞いていると、カッキンコンと何の音だか解らないのです。

凍りついた空気の中をピィーンと木の音が響くところに美しさがあるのに、全くしょうがない!

芝居っけのある老人などがいてくれて、歌舞伎の声色で「火の用~心、さっしゃいませ」(カチカチ)とやっていただけると、嬉しくなるのに。

出陣のごとき身支度火の見番(西村修三)