(巻九)死んでから先が永さう冬ざくら(桑原三郎)

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12月28日月曜日

物流は今日も止まるを許されずまはりつづける魚のごとし(渋谷史恵)

という業界にお世話になっているので皆様はまだお休みに入れない。私は明日からお休みをいただいた。

来年に向けてなにかとやることはあるが、6ヶ月分の通勤手当が頂けたので定期券を買った。少なくとももう6ヶ月はお勤めして、お給料がいただけそうなので、この年の瀬にありがたいことである。

差引けば仕合はせ残る年の暮(沢木五十八)

定期券があるということは土日祭日に都心をぶらぶらと散歩ができるということである。何しろ片道の交通費が千円近く掛かるから、定期券がなければできない話である。

紐解かれ枯野の犬になりたくなし(栄猿丸)

首が繋がったのであるから、お祝いをしなくてはと、神田駅そばのもつ焼屋「コーラク」に立ち寄りコップ酒で一人祝杯を上げた。

コップ酒飲み干す時のしばらくを逆さのままに宙に留むる(伊倉邦夫)

コーラクにはよく入り浸っていたが、家での盗み酒の方が金もかからないし、健康の、つまりトイレの、問題もあったのでここのところご無沙汰をしていた。
かつて頻繁に通っていた頃は、大将に「冷と煮込み!」などと横柄な注文をしていたが、足が遠退いた今は、「冷酒と煮込みをお願いします。」とへり下って注文している。
安い訳でもないし、特に旨いわけではないが、かみさんの愛嬌とじいさんの沁々した雰囲気が神田を伝えている店である。
大将は町内会の防犯見回りに出動して行った。

もつ焼きの煙る神田の残暑かな(堀田福朗)