(巻十二)身の丈の暮し守りて冷麦茶(北川孝子)

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9月28日水曜日

朝起きると留守電が残っていた。詐欺師のご活躍で電話に出ないことが無礼ではなくなったことは有難い。

黄抄降る街に無影の詐欺師たち(馬場駿吉)

夜中の電話などろくな話はないだろうと思いつつ録音を聞くと、町内会からの訃報伝達であった。役員のおばちゃんがどこからか聞き込んだご老人のご不幸をわざわざ情報提供してきたものである。電話を折り返し訊けば、御当家では内々にすべてを済ませたあとであると言う。当然御当家からこちらへの連絡は一切なく、こちらから“ご不幸があったと耳にいたしましたが、”と窺いに行き、町会からの香典と班からの香典を届けることになるのだが、これが町会というものと観念するしかない。

聞きたくも無きこと聞え耳袋(加古宗也)

朝のドタバタのあとの出勤途中、路地に曼珠沙華をみとめた。

死ぬならば自裁晩夏の曼珠沙華(橋本栄治)

そんなこんだで、墓地の管理費が未納であったことを思い出し、昼休みにATMに急いだ。

振込機に命ぜられをり日短か(江中真弓)

9時すぎに日ハムのリーグ優勝が報じられた。ヤクザな東映フライヤーズ(土橋、毒島、山本八など)のファンとしては、その流れを受け継いでいるとは思えないが、まあおめでとう!

この道は一本道か秋の暮れ(深作欣二)