(巻三十五)廻されて電球ともる一葉忌(鷹羽狩行)

(巻三十五)廻されて電球ともる一葉忌(鷹羽狩行)

11月29日火曜日

一葉忌は11月23日だったのか。時雨忌はもっと前のようだ。漱石忌が12月9日だからもうすぐだな。

一葉忌舞妓の通ふ英語塾(荒井書子)

あと五分すれば半額一葉忌(あらゐひとし)

朝は曇り空。朝家事は拭き掃除だけ。

午後は風が強まるとの予報なので午前中に軽く歩いて生協に寄った。醤油と食器洗剤が注文だったが、他に餡パンを1個別会計で買ってポケットに忍ばせて帰宅した。

今日の昼飯は肉マン1個半と焼売3個と予想されたからだが、結果は肉マン1個半と焼売が5個だった。さすがにこれでは夜まで持たない。(餡パンは5時過ぎにこっそりと頂いた。)

昼飯食って、今日は部屋に籠り、

「薔薇連想 - 渡辺淳一」を読んでいるが、ケチでシミッタレが幸いしてか、この手で済ませ、この手の病気には罹からず一生を終えることが出来そうだ。先週読んだツイッター削除裁判もそうだが、色欲は危ない橋を渡らせる。

猫二匹性を抜かれて日向ぼこ(拙句)

抜かれはた猫は長生きするそうだが。

願い事-涅槃寂滅です。

わが色欲いまだ微かに残るころ

渋谷の駅にさしかかりけり(斎藤茂吉)

そのことにも未練はないね。

「雨の夜 - 樋口一葉」日本の名随筆43雨 から

庭の芭蕉のいと高やかに延びて、葉は垣根の上やがて五尺もこえつべし、今歳はいかなければ斯[か]くいつまでも丈のひくきなど言ひてしを夏の末つかた極めて暑かりしに唯[ただ]一日[ひとひ]ふつか、三日[みつか]とも数へずして驚くばかりに成[なり]ぬ、秋かぜ少しそよそよとすれば端[はし]のかたより果敢[はな]なげに破れて風情次第に淋しくなるほど雨の夜の音なひこれこそは哀れなれ、こまかき雨ははらはらと音して草村がくれ鳴くこほろぎのふしをも乱さず、風一しきり颯[さつ]と降りくるは彼の葉にばかり懸[かか]るかといたまし。雨は何時[いつ]も哀れなる中に秋はまして身にしむこと多かり、更けゆくままに灯火[ともしび]のかげなどうら淋しく、寝られぬ夜なれば臥床[ふしど]に入らんも詮なしとて小切れ入れたる畳紙[たたうがみ]とり出[い]だし、何とはなしに針をも取られぬ、未だ幼[いとけ]なくて伯母[をば]なる人に縫物ならひつる頃、衽先[おくみさき]、褄[つま]の形[なり]など六づかしう言はれし、いと恥かしうて是れ習ひ得ざらんぼどはと家に近き某[それ]の社[やしろ]に日参といふ事をなしける、思へば夫[そ]れも昔し成[なり]けり、をしへし人は苔の下になりて習ひとりし身は大方もの忘れしつ、斯[か]くたまさかに取出[とりいず]るにも指の先こわきやうにて、はかばかしうは得[え]も縫ひがたきを、彼の人あらば如何[いか]ばかり言ふ甲斐なく浅ましと思ふらん、など打返し其むかしの恋しうて無端[そぞろ]に袖もぬれそふ心地す、遠くより音して歩み来るやうなる雨、近き板戸に打つけの騒がしさ、いづれも淋しからぬかは、老いたる親の痩せたる肩もむとて、骨の手に当りたるも斯[かか]る夜はいとど心細さのやたなし。