(巻三十六)行年をふり返りいる煙草かな(森田桃村)

(巻三十六)行年をふり返りいる煙草かな(森田桃村)

3月4日土曜日

タバコをやめて2年経った。コロナの賜物か?曇天。

朝家事は洗濯で花粉のため部屋干し。

細君、玉子焼きを焼く。これ旨し。

玉子焼きは江戸時代からあるが、目玉焼きはいつからか?文明開化からか?とそんな話題が老夫婦の間で交わされた。

冬晴や醤油をはじく目玉焼(彌栄浩樹)

昼飯喰って、一息入れて、散歩に出かけた。

年度末となり秋から改修工事をしていた2丁目のさくら通りの工事完了が近づいたようだ。伐採した古木のあとに若木が植えられた(一撮)。蕾がついているから18日前後には開花するのかな。

都住のクロちゃんを呼ぶが現れず。居ないのかと思ったら1号棟の庭で日向ぼこをしている彼女をみとめた。以前はサンちゃんやフジちゃんに苛められるのでうろつかなかったところだ。サンちゃんがいなくなったので縄張りに変化が起こったのか?呼んだら跳んできた。

駅前まで歩いたが、人が多い。呑みたくならず、おとなしく帰宅した。

三月の道路工事の回り道(金子さと)

BBC Radio The Food Chain, The art of fermentation

https://www.bbc.co.uk/programmes/w3csv0pf

Mr. Sandor Katz

の書き取りをしていて、昆布茶をkobuchaと打ったらwordに Kombuchaと直された。

《And in general, I would say that I hear people talk about fermented foods as cure for particular diseases.

You know, eat sauerkraut to cure cancer, drink kobucha to cure diabetes, like that, you know, that's a kind of trigger for me. Like I think it's not reable to expect eating a particular food is going to cure a particular disease.》(21分15秒辺り)

願い事-涅槃寂滅、酔生夢死です。

もういいやって感じだな。だから楽にお願いします。

昨日、山口瞳五味康祐の繋がりを読んだが、五味康介氏のいいところを出久根達郎氏が書いている文章を思い出し、読み返してみた。

芥川賞の値段(抜書) - 出久根達郎講談社 たとえばの楽しみ から

冬枯や巡査に吠ゆる里の犬(正岡子規)

芥川賞の値段(抜書) - 出久根達郎講談社 たとえばの楽しみ から

第二十六回は堀田義衛『廣場の孤獨』(十万円)、二十七回は該当なし、二十八回は昭和二十七年度だが、松本清張五味康祐という芥川賞らしからぬ異色の作家が受賞する。

松本の受賞作は、「或る『小倉日記』伝」だが、この作品は最初直木賞の候補に推されていた。永井龍男が、内容から芥川賞だ、と判断し、そちらに回したのである。坂口安吾が松本の構成力とたくましい筆力に、推理小説を書く要素を備えている、と予見し、買った。安吾の読みは的中し、数年後、清張推理ブームが起こる。

五味は、その頃リルケに心酔し、『マルテの手記』のような小説を書いては、出版社に持ちこんでいた。いつも没である。生まれて初めて時代小説を書いてみた。それが受賞作となった「喪神」である。当時ひどいこと貧乏であった。夫婦で間借りしていた部屋の縁の下に、野良犬がすみついた。五味は雑種の野良を可愛がっていたが、骨一本のエサを買ってやることもできないある日、道の向うから五味の姿を見つけた野良は、尾を振り、まっしぐら走ってきて、車にはねられた。犬の死骸を胸に抱いて、五味は大声で泣いた。「この時ほど、自分の貧乏を呪ったことはない。」「手前ひとりの誇り高き文学精神とは一体何だ、と思った。」とのちに回想している。「この瞬間から私は変ったように思う。」と書いている。

五味の受賞が新聞で報じられた時、まっさきにお祝いに駈けつけてきたのは、質屋の親父だった。親父は一升びんを届けてくれた。五味はそれを野良公の墓前に供えた。そうして、「えらいことになってしもうた、どないしよう」と墓に語りかけた。

正賞の時計は、まもなく質入したという。お祝いしてくれた質屋に預けたのであろう。

五味の「喪神」を強く推したのも安吾であった。そういえば五味も清張も、持ち味が安吾に似ている。清張の受賞作を収録した『戦国権謀』が十五万円、五味のそれを入れた『秘剣』が五千円。五味の初版本が安いのは、『秘剣』が新書判で見ばえがしないせいであり、また結構売れた本だからである。