(巻十四)立読みのつづきは明日夏の月

イメージ 1

3月8日水曜日

風邪か飲み疲れか、もしかしたら花粉症で洟と目がウルウルである。この歳まで花粉症は発症していないが、いつ出るかは歳に関係ないという。そんな美しい病には縁がないものと思っているが、暫くは自己観察だ。

美しき名を病みて花粉症(井上禄子)

NYTで150年の歴史を持つ“リングリングサーカス”が終演するというニュースを題材にした随筆を読み、筆写を始めた。
大陸横断鉄道で巡業し、動物の芸を特色としたサーカスであったという。初めてアフリカから象を取り寄せ出し物にしたのもこのサーカスだそうで、“jumbo”という単語に大きいという意味を加えたのはこの象にあるという。近年は象の移動などが動物虐待にあたるとの指摘を受け、象を出し物から外すなど対応を取ったというが、サーカスの外には“Whipped for your entertainment”と書かれた虎の写真のプラカードを掲げる愛護団体が立っているという。

菜の花や象に生まれて芸ひとつ(佐藤博美)

動物の芸というか躾でホロッとしたことがあった。
奥様がお洒落にトリミングされた玩具犬を連れてベンチに腰掛け、手提げから犬に小さなおやつを一粒あげた。
犬は悦び二つ目のおねだりに奥様の膝に前足をかけた。でも奥様は二つ目をあげない。犬は何度も前足を膝の上でバタバタさせたが、貰えない。
そこでやっと犬は気が付いた!
足を下ろし、奥様の足元で両前足をキチンと揃えて見事なお座りして奥様を見上げたのである。そしてやっと二つ目を頂いていた。

巴里は夏マダムの犬の躾良し(春田珊瑚)