3/4「四畳半襖の下張 - 金阜山人戯作」

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3/4「四畳半襖の下張 - 金阜山人戯作」

かうなつては何をするのも此方のものと思へど、猶大事を取るに如かずと、口など吸はず、唯腰を早めて様子を窺ふに、忽ちがつくり枕はづして、それなり直そうともせぬにぞ、もう占めたりと、腰を使ひながら半身起して、手早く長襦袢の前左右をかき開き、親指の腹にて急所を攻むれば、袖子たまらぬといふ風に身をもがきて、忽ちよがりの一声[いつせい]、思はず高く発すると心付いてか、襦袢の袖にて顔を蔽ふ。此方はますます泰然自若として、徐[おもむろ]に女の伊達巻解きすて、緋縮緬の腰巻引きはだけて、乳房より下腹までむつちりとして雪のやうなる裸身、上なる電燈くまなく照すを打眺めつつ、おのれも浴衣かいやりはだかとなり、女が両足腿よりすくひ上ぐるやうにして此方へすこし反身[そりみ]になつて抜挿見ながら行ふ面白さ、何とも言へたものにあらず。どうやら此方もよくなつて来さうなれば、これではならぬと上になつて、浅く腰をつかひ、只管[ひたすら]親指のみ働すほどに、女は身を?はせ、夢中に下から持上げて、襦袢の袖かみしめ、声を呑んで泣き入る風情。肌身と肌身とはひつたり会つて、女の乳房わが胸にむず痒く、開中は既に火の如くなればどうにも我慢できねど、ここもう一としきり辛棒すれば女よがり死[じに]するも知れずと思ふにぞ、息を殺し、片唾[かたづ]を呑みつつ心を他に転じて、今はの際にもう一倍よいが上にもよがらせ、おのれも静に往生せんと、両手にて肩の下より女の身ぐツと一息にすくひ上げ、膝の上なる居茶臼にして、下からぐひぐひと突き上げながら、片手の指は例の急所攻め、尻をかかえる片手の指女が肛門に当て、尻へと廻るぬめりを以て動くたびたび徐々[そろそろ]とくだつてやれば、女は息引取るやうな声して泣いぢやくり、いきますいきます、いきますからアレどうぞと哀訴するは、前後[あとさき]三個処の攻道具、その一ツだけでも勘弁してくれといふ心か。髪はばらばらになつて身をもだゆるよがり方、こなたも度を失ひ、仰向[あおむき]の茶臼になれば、女は上よりのしかかつて、続けさまにアレアレ又いくまたいくと二番つづきの淫水どツと浴びせかけられ、此れだけよがらせて遣ればもう思残りなしと、静に気をやりたり。

さて拭く段になりて、女は用意の紙枕元にあるを知れども、手は届かず、其身は茶臼の最中、長襦袢うしろにすべり落して、腰巻さへ剥がれし丸はだか、流石に心付いては余りの取乱しかた今更に恥かしく、顔かくさうにも隠すべきものなき有様、せん方なく男の上に乗つたままにて、顔をば男の肩に押当て、大きな溜息つくばかりなり。どうしたかえと下から問掛ければ、鼻つまらせ泣き声にて、あなたどうかして頂戴よ、紙がとれませぬ、取れねば拭かずともよいワ、重くてならぬ、と下から女の肩を押して、起きなといへど、煌煌たる電燈この儘にては起きも直れぬと見え、猶ぢつとしてゐるにぞ、入れたままの一物まだ小さくなる暇なきを幸、そつと下から軽く動して見るに、女は何とも言はず、今方やつと静まりたる息づかひすぐにあらくさせて顔を上げざれば、こりやてつきり二度目を欲する下心と、内心をかしく、暫くして腰を休めて見るに、女は果せる哉、夢中にて上から腰をつかふぞ恐しき。擽[くすぐ]つたくはないかと聞いてみれば、鸚鵡返にあなたはと情なささうに言ふは、若しさうであらうとも我慢して下さいとの心なるか。一度気をやれば暫くは擽つたくてならぬといふ女あり。又二度三度とつづけさまに気をやり、四度目五度目に及びし後はもう何が何だか分らず、無暗といきづめのやうな心持にて、骨身のくたくたになるまで男を放さぬ女もあり。男一遍行ふ間に、三度も四度も声を揚げて泣くやうな女ならでは面白からず。男もつい無理をして、明日のつかれも厭[いと]わず、入れた儘に蒸返し蒸返し、一晩中のつづかん限り泣かせ通しに泣かせてやる気にもなるぞかし。

お袖兎角する中、茶臼にて?くも三度目の気をやりしが、此方はもともと蒸返しの無理なれば、一向平気にて、今度こそ我慢せずともなかなか行きさうな気もせねば、まづ入れたままにて横になし、女の片足を肩へかつぎ、おのれは身を次第に後にねじ廻して、半分後取の形、抜挿電燈の光によく見ゆれば、お前も見て楽しみなと知らすれど、女は泣き腫らせし眼つぶりしままにて、又いいのよ、どうしたんでせう、あなたあなた、アレわたしもう身体中[からだぢゅう]が、と皆まで言ひ得ず四度目の気をやり始め、ぐツと突き込まれる度々、ひいひい言つて泣続けしが、突然泣き止むと見れば、今にも息や絶えなんばかり、肩にて呼吸[いき]をつき、両手は両足もろともバタリと投出し、濡れぼぼさらけ出して恥る風もなし。此方は今方[いまがた]よりすこし好くなりかけて来たところ、此方にて気の行くまで行ひては、それこそ相手のつかれ?かしと、流石気の毒になり、其儘相方[そうほう]ふきもせずうとうと一眠り。目が覚めて顔見合せ、互ににこり笑ひしが、其時女何を思うてか、小声にて、あなたも行つてときく。どうだったかと笑へば、あなた人ばかりやらして御自分は平気なのよ、ほんとに人がわるい、と内股へ手を入れる故、其儘いぢらせて、もう駄目だろうと言へば、大丈夫、あなたもちやんとやらなくちやいやよ、私ばかり何ぼ何でも気まりがわるいわ、と軟に鈴口を指の先にて撫でる工合、この女思ふに老人[としより]の旦那にでもよくよく仕込まれた床上手と覚えたり。
されどどうしたものか一物容易に立上らぬにぞ、女最早や奥の手出すよりせん方なしと思ひてや、ほんとにおつかれ筋なのね、と言ひながら潜[もぐ]るやうに後じさりして、それとなく男の乳を静に嘗め、やがて一物を口にふくみて、舌の先にて鈴口を撫でる順取り呆れた程上手なり。今まで幾年となく諸所方々遊び歩きしが、これ程の容色[きれう]にて、これ程の床上手にはまだ一度も出会つたことはなし。今夜はどうした巡り合せかと思へば、しみじみ嬉しくなり、おのれも女の内股へ顔さし入れ、先づ舌の先にて上の方の急所を嘗め、折々舌をまるめて奥深く入れては又上の方をなめてやるに、女は忽ちうつつによがり始め、口の中なる一物唇にて根元を堅くしめてはこきながら、舌の先にて鈴口を弄ぶ。其心地開中にあるよりは又別段の快味に、此方も負けじと舌を働す中、続けさまにぐツとこかれていよいよたまらず、もう行くからと、腰を浮して取らんとすれど、女?へたなりにて放さず、一きは巧な舌のはならき、ウムと覚えず女の口中にしたたか気をやれば、女も同じく気をやると見えて、泉の如く出しかける淫水、頤[おとがい]より胸へとべたべたつたはる、まして今度こそは後先[あとさき]の恨なく、人には話されぬいやな真似仕?して流石に夜が明けてから顔見合すも恥しきばかりなる。