(巻八)子兎の忘れたやうな手袋を拾ふ風花舞ひし公園(瀧上裕幸)

書き留める句や歌は、処世訓的で、皮肉っぽいものが多い。その中で、
今日の歌は最もメルヘンな歌で、こころが和む。

子狐の風追ひ回す夏野かな(戸川幸夫)

も、うれしくなる句である。

その対極とは言わないが、
日曜日の夜の、NHKラジオ文化講演会の演題「妖怪」であった。

化けさうな傘かす寺のしぐれかな(蕪村)

妖怪の絵図は日本の特徴的な美術であり、百鬼夜行絵巻の妖怪たちが、現在のイラストやネットワークゲームのデザインの独創性の根源となっているのではないかとのこと。

欠伸して鳴る頬骨や秋の風(内田百鬼園)