(巻二十三)誰の手にありし古書なる梅雨深し(有馬朗人)

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10月26日土曜日

粗大ごみの扇風機とラジカセを回収場所まで搬出した。朝の一仕事。

続いて、ベランダの“ドブ”掃除、風呂場の排水溝掃除、布団干し、洗濯物干し、で10時になった。
家事に屈伸運動は付き物でして、よい運動になります。特に布団干しの際にはベランダの手摺の縦棒を一本ずつ拭きますのでこの立ったりしゃがんだりがよろしい。

屈伸の掌床に夏来る(井上亮子)

午後はお暇をいただき、図書館に行き、『角川俳句(十一月号)』を捲りました。

書き留めた句は以下の通りです。

湯を注ぐだけの味噌汁もう立冬(五代儀幹雄)
徒[あだ]し世や桜落葉の裏表(中村欽一)
人生を以下省略の涼しさよ(藺草慶子)
小銭とか純喫茶とかソーダ水(湯浅惠子)
増水に蛇が抱きつく細き枝(伊藤博康)
女去る金魚のやうに尻を振り(柳原白眞)
持ち帰り検討します大西日(このはる紗耶)

図書館の隣りの中学校では文化祭のようで父兄の往来が目立ちました。

芸術の秋の人出に紛れむか(太田うさぎ)

本

コミケット・世界最大のマンガの祭典 - 米沢嘉博宝島社文庫 「おたくの誕生 」から

を読みました。この 宝島社文庫 「おたくの誕生 」は200円で手に入れました。まあ“ハズレ”でもいいやと思って買ったのですが、なかなか読み応えのある文庫本です。書き手たちがルポライター系なのでなかなか読ませますし、洞察力も立派なものです。深い!
例えば、

《 - 戦後世代は、マンガという語るための方法を与えられたことによって、ひとつの自己表現の手段を手に入れたのだ。それは、金もかからず、個人作業ででき、しかも、宇宙や時間という巨大なテーマから、日常のレポートまで、あらゆることを扱うことを可能にしたのである。
ただ、ここで「自己表現」「メッセージ」という言葉の持つ意味を、昔風の矮小なイメージで捉えてほしくない。それは、反原発反戦、反天皇といったものから、愛やリビドー、趣味やこだわり、気持ちいいとか悪いとかの感覚、面白いこと.....までありとあらゆるものを含んでいる。自分が面白いと思ったことを、他人に伝えて面白がってもらう、心地の良さの共有.....それらは、メッセージであると共に、コミュニケーションでもあるだろう。そうした、マンガを通じて行なえるすべてが、この「自己表現」のなかには含まれている。》

殊に、

《 自己表現の手段を手に入れたのだ。それは、金もかからず、個人作業ででき、しかも、宇宙や時間という巨大なテーマから、日常のレポートまで、あらゆることを扱うことを可能にしたのである。》

お金のある人は実体の中で遊びますが、あたしは金を遣いたくない種族なので頭の中で遊ぶしか遊び方がございません。

露の世のなほも仮装の世に遊ぶ(近藤七代)

《 自分が面白いと思ったことを、他人に伝えて面白がってもらう、心地の良さの共有.....それらは、メッセージであると共に、コミュニケーションでもあるだろう。》

これは顔本のグループやあたしがこの場でこうしてやっていることでございます。

メール閉じ一日終る秋深し(吉住外茂夫)