(巻九)「資本論」抜けば雪降る書架の裏(今井聖)

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11月18日水曜日

大部屋に移りましたが、窓際で明るく、個人の空間も十分で満足しています。

この大部屋の患者さんは、軽症患者ではないようだ。

昼間は家族の見舞いがあり、結構深刻な話もあるようです。

ある意味、予習の場なのかもしれない。

秋霜や踊りを復習(さら)う旅役者(斎藤節)

退院するにしても、「息子が遠方で、家族の迎えが調わない」など私に将来想定される事象が起こっているし、体重が確実に落ちているとか、白血球の数値確認などが耳に入ってくる。
看護師さんとの、治療打ち合わせもなんとなく怖そうな話である。

耳聡き汝の耳も紅葉せよ(大木あまり)


その他、退屈することはありません。
持ち込んだ立読抜盗句歌集の句や歌の関連付けは、記憶力の衰えもあって、ぶりょう(漢字変換ならず)を慰めてくれます。

爪染めて梅雨の無りょう(ぶりょう)を紛らはす(西田鏡子)

ゴロゴロと寝ているのですが、食欲旺盛です。
ご飯はお粥ですが、何一つ残さず、美味しくいただいております。

腸に春滴るや粥の味(夏目漱石)

粥では、少なくとも、


朝寒や白粥うまき病み上がり(日野草城)

も書き留めていました。

村上春樹氏の「雑文集」も、敢えて、軽読し、楽しませていただいております。