(巻九)煙草屋の娘うつくしき柳かな(寺田寅彦)

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12月19日土曜日

“お一人様”と言う言葉が普通語となって久しいが、この年末のラジオ番組では“クリぼっち”と言う言葉もよく耳にする。
ホテルやレストランでも“クリぼっち”をターゲットにしたクリスマス企画を立てているという。
男女とも七割近くが恋人不在ということであれば、これも頷けるし、一人身の気楽さを羨ましく思うこともある。


一人身の心安さよ年の暮(小津安二郎)

独りとはかくもすがしき雪こんこん(瀬戸内寂聴)

と賢人は詠んでおられる。

更に

流れ星恋は瞬時の愚なりけり(富士真奈美)

と諌めている方もいらっしゃる。

そのいっぽうで、

万有引力とはひき合う孤独の力である(谷川俊太郎)

煮大根煮かへす孤独地獄なれ(久保田万太郎)

にんげんの男に預け浮袋(高澤晶子)

とも読まれている。

孤独で参るか、参らぬか、ここが思案のしどころ、場合によっては、相談のしどころである。
「今日の私はやめておけばよかったと悔やんでおります。」


エコノミスト誌の年末年始合併号が配達された。合併号には力の入ったエッセイが多いので楽しみであるが、118頁から 119頁に“Agony aunts through the age”と題するエッセイが載っている。人生相談の歴史を纏めたエッセイのようである。