(巻九)北窓を開きて船の旅恋ふる(西川知世)

イメージ 1

1月8日金曜日

六十代半ばの夫婦の1日の平均的会話時間がどのくらいか存じませんが、わが家では、細君がよく囀ずりますので、一方通行の会話は相当ございます。ラジオなどで使われる“放送事故”という用語は細君の辞書にはありません。
帰宅し着替えする間に、8時のニュースのように細君の“今日の出来事”が流れます。
かつては、息子のこと、お受験関係のこと、亭主や教員の悪口を含む母親同士の情報交換の内容でしたが、今は老老介護の話の比重が高まっています。

愛鳥週間おんな同士のよく喋り(成瀬桜桃子)

(バランス)
汗臭き鈍の男の群れに伍す(竹下しづの女)

昨晩は、ある友人の施設にいた姑の病状が悪化し、病院に移された話が放送されました。その方の実母もホームに入っているのでダブルだそうです。更に病院からは家族の食事介助を求めてくるそうです。

茶の本」に再挑戦していますが翻訳和文は難しく原文英文はさらに難しい。十分な理解はできないながらも、訳文の第三章「道教と禅道」に入りました。
茶禅一致ですから、禅に話が語られ、禅の起源である道教に話が及んでいます。
何れも中国の教えですので、中国の地理と文化との関連を述べてから論を進めていますが、38頁に記されている岡倉天心の説明は改めて中国の広大さを教えてくれます。
以下、抜書きです。

最初に銘記すべきことは、道教は、その正当な後継者禅道と同じように、南方中国精神の個人主義的傾向を表していて、儒教の姿で現われている北方中国の共産主義と対処(旧漢字)的である。中国の広さはヨーロッパと等しく、それを横断する二大河川系によって区分された、気質の相違を生んでいる。揚子江黄河は、地中海とバルト海に匹敵する。今日なお、統合の世紀にもかかわらず、南方中国人と北方の同胞との思想、信仰の違いは、ラテン民族とチュートン民族の違いにひとしい。