(巻十二)行く年やわれにもひとり女弟子(富田木歩)

9月13日火曜日

本日検診
病院ではまずエックス線撮影をして、それから診察となります。大病院は待つものと心得ておりますので荷風を読んだり、他の患者さんやその付き添いの方の観察などいたしておりました。

八月の大病院の迷路かな(中込誠子)

奥様が旦那さんの付き添いと言うパターンばかりではありません。旦那さんが奥様の車椅子を押している風景も結構目に入ります。病人ですからいたしかたないのでしょうが、奥様方は不機嫌で、旦那さんたちもよくこれにお仕えしているとお見受けいたしました。先に躓いた方を伴侶が支える、しかないのですから。

秋雨や妻が目となり脚となり(潤)

診察の結果、当面小康で3ヶ月後に検査です。できればあと一年は普通の生活がしたいものです。
(日々の俳句の備蓄は四年分です。未練ですねえ!)

春愁や死は怖れぬと言ひつつも(松永朔風)

病院のあとは恒例となりました柏庄屋での海鮮丼と一合の昼食といたしました。澤乃井をお願いしたのですが、切れているとのことで、浦霞を頂きました。(千六百五十円也)

験(しるし)なき物を思はず一杯(ひとつき)の濁れる酒を飲むべくあるらし(大伴旅人)