(巻十二)無い袖を振つて見せたる尾花哉(森川許六)

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10月3日月曜日

幸いにしてもう半年は首が繋がったがネットニュースを見ると“戦力外”の記事が目につく。ビッグ3と言われて入団した投手たちに暇が出されたという。以前は鳴かず飛ばずでも五六年は面倒をみたそうであるが、これが短くなったと聞いたことがある。

また別の滝にならむと水奔る(三森鉄治)

と別の才能を発揮していただきたい。

糠雨のなか最寄り駅から家々の虫の声を聞きながら歩いた。

雨降れば雨降るやうに虫の声(吉原俊一)

途中に荒れた土地がある。大地主の倅が売り払ったあとの残りの百坪ほどの土地で年寄りの畑仕事のために残しておいた地面である。その土と親しんだ年寄りもいなくなってしまい丹誠込めて野菜作りをしていた畑は荒れ放題の草ボウボウである。今そこは虫たちの世界になっている。人間の世界では声のでかい奴がなんとかと言うが、虫の世界でも同じなのだろう。だからあれほどまでに鳴くのだろう。

補陀落も奈落もあらむ虫の闇(根岸善雄)