(巻十三)虫鳴いて裏町の闇やらかはらかし(楠本憲吉)

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11月16日水曜日

明日からビッグサイトで工作機械の展示会「日本国際工作機械見本市」が開かれる。海外からの出展者もおり、保税扱いで展示される。
その保税扱いの外国工作機械の確認に税関の保税担当官がお越しになる。税関検査の立会いと言うことで我輩もこの展示会場に来たのである。

街路樹の影黙々と保税地区(榎島砂丘)

見本市やフェアに行ったことはあるが、本番前の仕立てを拝見するのは初めであり、華やかなブースが職人芸で組み立てられていくのを見学させていただいた。
工作機械は日本とドイツの独壇場かといえば、そうでもないようで台湾のメーカーなど相当な力量のようである。
ブースの飾り付けは職人の技であるが、デモンストレーションをする機械の調整は各社の技術者であり、ITとハードの擦り合わせに余念がない。時には出走前の愛馬を撫でるかのように油膜の拭き取りをしていた。

大黒天御身拭ひて微笑給ふ(斉藤栄峰)

さて、本日お見えになった税関の検査官の方々ですが、大変宜しい!まず外観から申せば、制服制帽の着用に乱れがない。髪型も公務を執行される方に相応しいさっぱりとしたものである。検査の手順にも無駄がなく、確認すべき点は確認し、受検者の説明(釈明も含めて)をしっかり聴くという姿勢で大変宜しい!検査官からご指導もいただいたが、高圧的でも尊大でもなく誠実な話ぶりであり“連絡を取り合って亡失事故や違反のないようにしていきましょう。”と申されていた。
東京税関には三千人近くの職員がいると聞いている。中にはとんでもない輩もいて“肩身の狭い”思いをすることがあるが、今日は立派な職員二人を知ることが出来て佳き一日であった。

人柄が名所なりけりけふの月(加藤郁乎)