(巻十四)炎天を来て一水を身に通す(小澤克巳)

2月12日日曜日

2月6日朝日俳壇、歌壇:

旅にして戎祭と知る人出(高柳和弘)

前世には猫なりしかと思ふまで猫が好きにて猫に好かるる(坂本捷子)


移住計画が少しではあるが前進したので一人街に出て昼の酒で祝盃といたした。
昼食に肉まんなどを食べさせられてしまったので、軽く炙りしめさばとお通しで澤乃井をいただいた。
三島由紀夫の“不道徳教育講座ー批評と悪口について”をコチコチしながら何か馬鹿馬鹿しい会話が交わされていないかと周囲に耳を傾けたが、
そんなところに、三十代後半の男女二組が入って来た。二組の夫婦で男同士は級友のようだ。女はかみさんのようだ。いやかみさんではないようだ。甲は刺青を消したとか、フィリピンに10年いたとか言っているのであまりまともではないようだ。
今度は男丙がその女丁とのなり染めを語りはじめたが、これが凄い!服役中に知り合ったムショ友の元彼女だそうだ。
女乙と丁はそこそこの女たちであるがなんで甲と丙の女になっているのだろ?
一杯でやめるつもりが、取材のためにもう一杯となった。

極道の隣に食べる夏料理(三浦北曲)

甲と丙の共通の友である某が傷害事件で三年いたとか、窃盗したとか犯歴披露となったが、女たちは面白がっているのである。

男甲は今は車を運転して日々を送っているようであり、酔っ払い運転でパクられると食うに困るようである。女乙は薬剤師なのであろうか?眠剤とかそれらの偽物にやたらに詳しい。
甲のムショの麦飯の話になってきて、麦飯の効用に及んだり、丁が“クリスマスからやってない!”と云い欲求不満が顕となったり、話はころがって行くのであるが、女が男に惚れると言うか、野獣肉食系に女が引かれる心理とは何なのであろうか?

冬の日や獣の貌に檻の影(相子智恵)

などと考えているところに細君から、“いつまでふらふらしているのか?”とメールが入った。家畜化された我輩は買い物リストの買い物をして帰宅したのである。

父健気人参買って葱買って(冨田正吉)