(巻十六)マネキンが遠いまなざしして水着(西原天気)

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8月22日火曜日

山の手線の電車に跳飛ばされて怪我をした。その後養生に、一人で但馬の城崎温泉へ出掛けた。背中の傷が脊椎カリエスになれば致命傷になりかねないが、そんな事はあるまいと医者に云われた。二、三年で出なければ後は心配はいらない、兎に角要心は肝心だからといわれて、それで来た。三週間以上 - 我慢出来たら五週間位居たいものだと考えて来た。

で始まる志賀直哉の随筆「城の崎にて」をコチコチしはじめた。あの蜂の名文の小説ではなく、随筆である。
こう云う言い方は至極生意気なことではあるが、シーナを読んだあと、ちゃんとした文章が読みたくなり神様にすがった。

文章がどうのこうの云える者ではないが、この医者には些か申し上げたい。どうして心配をさせるのだ?
我輩は柏の名医に脈を採っていただいているが、140くらいでは脅さない。ところが、人間ドックの医者や会社お抱えの産業医は明日にでも死ぬような言い方する。

晩秋に産業医説く老病死(潤)

無愛想な猫は今日もゴミ集積所への通路に据わっていた。逃げもしないが、顔を上げもしない。餌を投げても無視されるので此方から媚びるのも馬鹿らしくなって止めた。
それでも彼女はあの場所に居て、瞑想に耽っている。
何が面白くて生きているのだ?などと問えば、そのまま返されそうな哲女だ。

三年間ついぞなつかぬ猫のいた彼女の部屋を見あげて過ぎる(渡辺たかき)

彼女と書いたが、分からない。まだそんなところまで拝ませていただけるような親密な関係には至っていない。ではあるが、どうしても犬は雄で猫は雌と思い込んでしまう。これは幼少の頃の絵本の刷り込みのせいであろうか?

野良猫との程良い間合い節分草(西田美智子)

過日、National Public Radio を聴いていたらネス湖の恐竜“ネッシー”が取り上げられて、“公認”の観察官がゲストで登場した。ホストが一発目に、He or She?と斬り込んだところネッシーはTheyであると斬り返していたが、この辺は彼の文化のお見事なところである。

http://www.npr.org/2017/04/29/526157979/this-man-keeps-track-of-loch-ness-monster-sightings