(巻十六)寒の坂つまづきたるをひとりごと(岸田稚魚)

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9月3日日曜日

細君と見舞いに行ったが義母もいよいよのようだ。三桁になったところだ。
もう意識はないようで、病院に搬送することもなく御迎えを待っている。

一枚の落葉となりて昏睡す(野見山朱鳥)

細君が母と一方通行のコミュニケーションを図っている間、自分は施設の玄関のベンチに腰かけてボーとしていた。

陽だまりや居ても目立たぬ老いの苑
(潤)

その前を、老男子介助者に伴われた三人の老老女がゆっくりゆっくりと散歩に出掛けて行った(写真)。 老女の一人は車椅子で、あとの二人は車椅子に掴まりながらの歩行である。 介助者は自分と同年代だろう。
10分も経たない内に散歩から帰ってきた御一行様が自分の座っているベンチの隣のベンチで一休みした。そこで、介助者の対話力の素晴らしさと老老女たちの聞き分けの良さを拝見した。
一休みして、元の住居区に出発することになったが、介助者は老女二人が車椅子のハンドルにそれぞれの片手を掴まらせたいのである。だが、掴みなさいとは言わなかった。「一緒に押してちょうだい。」と言ったのである。