(巻十八)香水や腋も隠さぬをんなの世(石川桂郎)

イメージ 1

3月18日日曜日

昨日東京に開花宣言が出たという。

開花宣言近所の桜に焦りなし(潤)

買い物ついでに亀有さくら通りのつぼみを見たが、まだ綻んでいない。
花の下を歩けば色々な句歌を呟きたくなるが、今年は

うつむきて歩けば桜盛りなり(野坂昭如)

を呟いて歩きたい。

天声人語もすぐに食い付いて、西行の歌を引用していた。二首のうち

わきて見む老(おい)木は花もあはれなり
今いくたびか春にあふべき

に身の憐れを感じるなあ。

誰にでも一度はあらむ今生の終の桜と知らず見る花(前田良一)


散歩は葛飾野高校から青戸方向に歩いてみた。この辺りには低層三階建ての都営住宅が多い。都営住宅に隣接して駐車場を広く取っているローソンがあり、店と駐車場の間に壊れかけたテーブルと椅子も置かれていて、灰皿も端に置いてある。無理して呼べば“テラス”である。珈琲を買ってテラスで一服いたしたが、同じ年代同じ身なりのじいさんが何人かたむろしていて、気さくに話し掛けてくる。土地柄であろう。どうでもよい話をするのも能力だなあ!
店には酒もつまみも揃っているから、季節がよくなったらこのテラスで一杯というのもありだな。

若葉風女脚組むカフェテラス

亀有新道を修徳側に渡り、富士の湯の前を歩いた。風呂は3時からでまだ閉まっていた。風呂上がりの客が入るのだろうか、小じんまりした飲み屋が二軒、蕎麦やが一軒あった。
この町は生まれ育った所に近い。あの柴又二丁目もこんな雰囲気だったことを思い出した。

五月雨ややうやく湯銭酒のぜに(蝶花楼馬楽)

トイレの電球はぴったりと嵌まった。

廻されて電球ともる一葉忌(鷹羽狩行)