(巻三十二)なすな恋波止場のケーキ評論家(徳重千恵子)

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(巻三十二)なすな恋波止場のケーキ評論家(徳重千恵子)

3月7日月曜日

細君は歯科に出かけたので午前中は独りで過ごす。先ずポルノ、次いで句帳の整理、さらにBBCの書き取りで心を縛る。

句帳の整理というのはある詞に関連する句を結び付けておくことで、例えば「蛍」なら、

今生の狂ひが足らず秋蛍(手塚美佐)16頁

死なうかと囁かれしは蛍の夜(鈴木真砂女)21頁

たましいのたとえば秋のほたるかな(飯田蛇笏)

水割の水を濃いめにして蛍(春川暖慕)116頁

じやんけんで負けて蛍に生まれたの(池田澄子) 143頁

を書き留めてあるが、21頁の蛍の横に」「16、116、143」と記してある。こうすると

ただ思うままに書き留めた句を探し出すのが楽になる。犬、猫、金魚となると大分増えるが、それでも探しやすくなる。

例えば、

冬の日や我人間[じんかん]の孤を愛す(斉木直哉)

を見つけたい、というときに、確か猫の句の中に

にんげんは面白いかと冬の猫(矢島渚男)

と人間があったことを思い出し、猫を手繰るとその句に辿り着く。

その句のにんげんの横には「19」と「人間」がまとめてある頁が記されている。そこで「19」頁に渡ると「47、99、141、165」に人間を含む句が書き留めてある頁が分かるのだ。

詞だけでなく、句の意でも引けるようにしていて、

いまさらの風鈴を吊り老夫婦(宇多喜代子)の頭には170、172、175と記してある。そしてそれぞれには、

くたくたとキャベツスープを煮て二人(松本広子)170頁

こころもち向き合ふやうに雛飾る(仁平勝)172頁

湯豆腐を中にふたつの余生かな(辻川時夫)175頁

が記されていて、勿論、キャベツの横にも、湯豆腐の横にも、風鈴の横にもまとめ先の頁数が記してある。

こう言う手作業をしていると迷走する心を縛り着けておけるのだ。

https://nprtheeconomistworld.hatenablog.com/entry/2020/06/25/082902

11時から昼飯の仕度を始めた。いつもの通り独り飯は備蓄食品の在庫調整で今日は6月24日に賞味期限切れになる餅付きカレーうどんと赤飯にした。湯を注ぎ、5分間待っているところに細君が三色菓子パンを土産に帰宅した。帰宅するとすぐにラジオを点ける。食卓上のラジオからは国会中継が流れてきて気分を害す。「無事、帰ってきてあげたのに嬉しくないの?」と云うので「ラジオを消せば嬉しくなる。」と答えた。ラジオは消えて嬉しくなった。

午後の散歩は明日は悪天候のようなので明日の分も稼ごうと駅前への往復を歩いた。銀座通りの串焼き本舗の前も通ったが昼のカレーうどんがもたれていて呑む気になれず。

願い事-生死直結で瞬間決着でお願いします。コワクナイ、コワクナイ。