(巻八)柿ひとつひとつ漆器のやうに拭く(中田剛)

新柏坂下通りの一軒の柿がうっすらとカーキ色を帯びてきた。

わが庭の 柿の葉硬く なりにけり 土用の風の 吹く音きけば (島木赤彦)

から一月弱であるが、柿はずいぶん柿らしくなった。



ふと出会った句、

絶対の安堵に死とふ涼しけれ(密門令子)

密かな共感を得てきた句ではないでしょうか?



へこんだり、膨らんだり振幅が大きい二十四時間です。

細君には申し訳ないのですが、

夫の恋見て見ぬふりの破れ傘(佐藤文子)

ちょっとした、プラトニックな夢を見ました。

まだ誰のものでもあらぬ箱の桃(大木あまり)

そんなわけで、寝付きは悪かったのですが、目覚めはすっきりでした。

起き抜けの散歩に歌を二つ得て妻いぶかしむ朝飯の席(大島辰夫)