(巻十二)日時計に影できている月夜かな(鹿又英一)

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8月19日金曜日

細君が眼鏡を買いに外出し、夕食は各自で手当てするようにとの連絡が入りました。
いつもは、汽車弁で一杯やって短い旅情を楽しむのですが、今宵はなぜか“玉子かけご飯”が食べたくなりました。品がないとおっしゃるかもしれませんが、

ぬく飯に落して円や寒玉子(高浜虚子)

そこで、定食をおいている柏の年金生活者が多いC級居酒屋をのぞいてみることにいたしました。

居酒屋の昼定食や荻の風(小澤實)

先ずは鰯のたたきとお酒を注文し、“この時間でもご飯セット(写真)は頼めますか?”とうかがいました。

鰯雲空にある日の安堵かな(岡川義輝)

“結構でございますが、後程でございますか?”と熟年の男性店員が丁寧な言葉使いで対応してくれました。

美しき言葉遣ひや菊日和(若杉朋哉)

さて、この人は何者と興味がわきチビチビやりながら観察いたしますと、スラッとした体形で身のこなしに優雅さがあります。特に皿などを下げるときの半身の姿勢がよろしいのです。
ベトナムからの娘さんたちが働く店で、全体に目配りしていながら動きは静かです。

眼を先へ先へ送りて蕨採る(右城暮石)

かつてはA級レストランか一流ホテルでそれなりのお仕事をなさった方とお見受けいたしました。C級居酒屋でA級の扱いをしていただき、またどのような場面でもきちんと仕事をするというプロ意識に感服つかまつった次第でございます。

(柏の“さくら水産”ですよ。写真の一番後ろはおかずにとったクリームコロッケです。結構いけますよ!)