(巻十二)菜の花や月は東に日は西に(蕪村)

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8月6日土曜日

定期検診のため柏のクリニックに参りました。途中、駅のホームをさ迷う同じ境遇のかぶと虫に出逢いました。(写真)

戦力外の通知受けたるかぶと虫(横坂けんじ)

朝から草取りや掃除、古新聞の玄関前出しと暑いなか動き回ってからの血圧測定なので心配でしたが、135で収まりました。水分を十分採るようにとのご注意をいただきました。

体内の迷路も夏か水いそぐ(山川蝉夫)

その後、駅前地下の浅野書店に行き、お気に入りの手帳を確保いたしました。句帳を二種類用意しておりまして、書き貯めておく手帳と選り抜きした句歌を持ち歩くための手帳とです。選り抜き用が押し詰まって参りましたので確保に立ち寄ったのです。

書き込めばふくらむ句帳雲は秋(岡持蝶児)

手帳のカバーは臙脂(エンジ)、紺、黄、黒、茶色とございまして、一冊目が茶色、二冊目が紺、選抜の一冊目は臙脂でした。今回、選抜の組み替えと追加をすることにしました。二冊目は覚悟を決めて黒にいたしました。

菊添えてそつと手帳を棺の底(宮万紀子)

手帳を仕入れてから、書架の間を通り抜けて行きますと岩波文庫があり、古典復刻版の中に「永井荷風随筆集(上)(下)」を見つけました。

深川や低き家並のさつき空(永井荷風)

手帳で黒を選びましたこともあり、彼処へ持っていく限られた本の候補として、思い切って上下いっぺんに仕入れました。

特老で死ぬるも風情梅ましろ(岩下四十雀)

手帳と随筆集でお金を遣ってしまったので、楽しみにしていた海鮮丼で冷酒一杯は断念して、京樽で鯖の押し寿司を買って帰り昼食といたしました。

自在なる老いとはならず穴惑い(金子秀子)