(巻八)もう行けぬ通勤途次(とじ)の柿の木と銀杏しずかに浮びくる秋(清水峻)

俳壇:
秋風やあとから気付くこと多し(加藤あや)

曇雨の日曜日を細君と二人だけで過ごした。
よくしゃべるが、腹の中まで見えるので、悪いことではないでしょう。

私の入院中は、やはり悪い夢を見たとのことだ。
心配をかけないことが、一番の女房孝行になる。

妻がいて夜長を言へりさう思ふ(森澄雄)

月曜日の朝11時ころ、お引っ越しの挨拶を受けた。
この袋小路の一番奥の家が売に出ていたが、
そこに三十代後半くらいの夫婦に小学生の家族が引っ越してきた。


知人の渡辺氏から飲み会のお誘いをいただいたが、酒を呑みたいという心持ちでもなく、欠席で返事をした。
世の中から忘れられていき、こんな奴がいたことは全く忘れられていいのだ。

たそがれを一葉やさしく落ちにけり(池本一軒)